貧困乙女、愛人なりすましのお仕事を依頼されましたが・・・
「それは楽しそうですね」

アレックスはポケットから、病室に飾ってあったバリーとジェシカと自分が写っている写真を取り出した。

「これも暖炉の上に飾りましょう。
ステキな家族の写真ですから」

アレックスは立ち上がると、座っているジェシカに手を差し出した。

「さぁ、帰りましょう。風が強くなってきている。
熱いコーヒーが飲みたいな」

その手を取り立ち上がると、目の前に、季節外れの蝶が二羽、ひらひらと風に乗って舞っている。

「蝶は死者の魂の化身だ」と、何かの本にあったのを、ジェシカは思い出した。

アルバートとマーガレットなのか。

もしかすると、父と母かもしれない。

「また、来ますね」

ジェシカが墓に向かって声をかけると、アレックスもうなずき、手に力をこめた。

風は冷たさを感じるが、つないだ手は温かい。

そして、そのぬくもりは、二人と一匹の未来へつながっている。

おわり
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