好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
「というのをおまえの上司であるおれに言わないのが悪い」
「まあ、……認めます。はい」
「確認を取らなかったおれも同罪だが」
「いえべつに蒔田さんは」
「……おれ、いま訊こうと思ってたこと、もいっぺん自分の席で考えて来ます……」
「あっいいんだよ、十秒考えたあとなら」
「……一人で頑張ってみます」
「ああ、そお?」
 一色が去るのと入れ違いで蒔田は自分の席に座った。

 彼女は、蒔田を直視して言った。「……珍しいですね、蒔田さんが自分から一色くんに言うなんて」蒔田は基本、放置プレー。

 本人が自分で気づくのを待つタイプだ。

「あんなに頻繁に来られてはおれのほうの業務にも支障を来たす」Eメールを手早く打ちながらそんなことを言う。もう蒔田は彼女を見ていない。
「うるさかったですか? ごめんなさい」
「いや。そうじゃなく……」

 ちらり。


 蒔田と視線が絡まる。

 が、それは春に散る桜の花びらのように、一瞬のことで。

「なんでもない」と言って、蒔田は、メールの送信を終え、通常業務に戻っていく。そうなると、彼女にかけられる言葉はもはや、無い。彼女も自分の仕事に戻っていくだけだ。
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