好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
「そうなんだ。おめでとう」それでも、出てきたのは極めて常識的ないち社会人らしい台詞だった。

 そういう言葉が出てくることに彼女自身ちょっと安心する。

「そう。ありがとう。それで、な、……」また間が空く。「ああ、ちょっと、替わるわ」

 すこしの雑音。そして物音。

 息を呑む人間の気配。

「紘花……?」

 彼女の耳に届いたのは、懐かしい友人の声だった。

「ああ、知奈……久しぶりだね、こないだ話して以来だね」

「あの、ね……紘花。なんて言っていいか、わたし、わたし……」電話の向こうの人物は、こみあげる思いを抑えられないようだ。

 不思議と、それだけで胸がいっぱいになる。

 かつて、苦楽を分かち合った友達同士だった。

 たとえいまは離れていたとしても。

「知奈……。いま、啓太から聞いた。おめでとう。本当に、おめでとう。……赤ちゃん、順調に育ってるの?」
「うん、うん……、ありがとう」泣きながらも必死に答えている様子が伝わってくる。「ごめんね、紘花……。こんなことになっちゃって」
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