好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
act26. 口は災いの元
「お父さん。ありがとうね。忙しいのに来てくれて……」
翌日。
朝の電車で帰る父親を見送りに、彼女は駅に来ていた。
父の寝ぐせが気になる。
けれども、父親が髪型に無頓着なのは、いつものことだから。それでいて、どこか年齢離れした若々しさを保つ、油っこさとは無縁のこざっぱりした中年男性だから、彼女は口に出さずにおいた。
「いいや」と父親は首を振る。「……蒔田くんに、寝てしまって悪かったと伝えておいてくれ。無理に時間を作ってくれて感謝しているとも」
「りょーかい」彼女はおどけて敬礼した。「ちゃんと伝えときます」
「……紘花。いいひとを、見つけたね」
そんな愛娘を。父親は、目を細めて見つめる。
「やだなあもう、お父さんたら……。まだただの彼氏なんだよ。結婚するわけじゃないんだから」
「けれど彼はそんな紘花を、受け入れている様子だったよ」
「へ?」寝耳に水の話だ。蒔田とは、父が寝ている間に雑談をした程度で、大した進展もない。
『部下と上司』関係は変わらず、なのだが。
「まあ、いい……」父は、ふっと笑った。「そのうち、分かる日が来るさ……」
翌日。
朝の電車で帰る父親を見送りに、彼女は駅に来ていた。
父の寝ぐせが気になる。
けれども、父親が髪型に無頓着なのは、いつものことだから。それでいて、どこか年齢離れした若々しさを保つ、油っこさとは無縁のこざっぱりした中年男性だから、彼女は口に出さずにおいた。
「いいや」と父親は首を振る。「……蒔田くんに、寝てしまって悪かったと伝えておいてくれ。無理に時間を作ってくれて感謝しているとも」
「りょーかい」彼女はおどけて敬礼した。「ちゃんと伝えときます」
「……紘花。いいひとを、見つけたね」
そんな愛娘を。父親は、目を細めて見つめる。
「やだなあもう、お父さんたら……。まだただの彼氏なんだよ。結婚するわけじゃないんだから」
「けれど彼はそんな紘花を、受け入れている様子だったよ」
「へ?」寝耳に水の話だ。蒔田とは、父が寝ている間に雑談をした程度で、大した進展もない。
『部下と上司』関係は変わらず、なのだが。
「まあ、いい……」父は、ふっと笑った。「そのうち、分かる日が来るさ……」