好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
act28. 律儀で寡黙なマイ上司
榎原紘花が出社すると間もなくして、不在の上司の椅子に、ジャケットがかかっているのを見つけた。
「あ」
紺色のジャケット。
いつも黒のスーツばかりの蒔田にしては珍しい服装だ。いまは六月とはいえクールビスまっただ中のご時世。
こんな時期に上着を持って出社する人間などいない。
『制服とは言ってない。紺色のスーツくらいならうちにもある。一着だが』
『約束ですよ』
返事も頷きもしなかったけど、律儀に『約束』を蒔田は守ってくれたのだ。
嬉しい気持ちと甘酸っぱい気持ちとからかい倒したい気持ちとが入り混じった思いで取りあえず突っ込もうにも、当の本人が不在だ。
残念な気分を持て余しつつ給茶機のところに向かう。と途中で。
喫煙室のなかに蒔田発見。
しかも、ひとりだ。
こんなラッキーチャンスなど逃したらそうそうない。彼女は迷わず喫煙室の扉を叩いた。「おはようございます、蒔田さん」
「……、……ああ」
ぼんやりと煙草をふかしていたらしく、蒔田の反応は鈍い。朝が苦手なのだろう、この上司は朝イチはいまひとつ頭が働かないらしい。
「あ」
紺色のジャケット。
いつも黒のスーツばかりの蒔田にしては珍しい服装だ。いまは六月とはいえクールビスまっただ中のご時世。
こんな時期に上着を持って出社する人間などいない。
『制服とは言ってない。紺色のスーツくらいならうちにもある。一着だが』
『約束ですよ』
返事も頷きもしなかったけど、律儀に『約束』を蒔田は守ってくれたのだ。
嬉しい気持ちと甘酸っぱい気持ちとからかい倒したい気持ちとが入り混じった思いで取りあえず突っ込もうにも、当の本人が不在だ。
残念な気分を持て余しつつ給茶機のところに向かう。と途中で。
喫煙室のなかに蒔田発見。
しかも、ひとりだ。
こんなラッキーチャンスなど逃したらそうそうない。彼女は迷わず喫煙室の扉を叩いた。「おはようございます、蒔田さん」
「……、……ああ」
ぼんやりと煙草をふかしていたらしく、蒔田の反応は鈍い。朝が苦手なのだろう、この上司は朝イチはいまひとつ頭が働かないらしい。