好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!
「今日、泊まっていって構わないか」


 出し抜けに蒔田が言うので彼女は驚いた。「えと。まだ正午過ぎですよ」

「あれが乾かないとおれは帰れん」蒔田が視線で乾かしている衣服を指した。それを見て彼女は頷く。

「まあ、土曜ですし特に予定もありませんから、あたしは構いませんけども」彼女は極めて事務的に答えたのだが、その胸のうちは。


 期待感でいっぱいなのだった。


 * * *


 めくるめく愛の嵐。

 頼れるもののない、すがりつくものの絶えず欲しい世界。

 愛する者のいる世界は常に美しい。こんなにも答えてくれる。

 胸の奥が楽器のように鼓動を鳴らす。

 細胞が歓喜にふるえる。

 吸いついた肌の、愛しさ。

 健気な指先の、動き。

「蒔田、さぁん……」激しいキスの合間に。

 彼女は、切なく、彼の名を呼ぶ。一日中ベッドのうえに居る。

 食べて。

 そしてまた愛され、離れられない。

 いまとなっては、自分たちが二つに分かれていること自体が信じられないくらいだ。

 他人同士の二人。飽くるほど求め合っている。
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