治療不可能な恋をした
言葉とは裏腹に、まるで包み込むように、ゆっくりと身体を撫でる手。そのひとつひとつが、愛しさに満ちていて、梨乃は自然と瞼を閉じた。
「……もう、いい?」
そう囁かれて、こくりと頷く。少し熱を残したままの頬を、彼の唇がそっと撫でた。
彼の手が再び身体を辿る。触れるだけでとろけてしまいそうなほど、丁寧で優しかった。
「梨乃が俺を求めてくれるの、マジでやばい……嬉しすぎて、トびそう」
囁くたび、肌が熱を帯びる。そっとあてがわれた彼のものも、不思議と怖いとは思わなかった。
理人の腰が静かに落ちて、中を拓くように押し進んでくる。異物感はほんの一瞬だけで、すぐに全身が幸福な温もりに包まれた。
(……逢坂くん)
彼の腕の中で、胸の内でそっと名前を呼ぶ。じんわりと目元が熱くなり、咄嗟に肩に顔を埋めると、背中にそっと腕を回した。
(……幸せ)
これまでも、彼に抱かれるのは心地よかった。けれど今は、それを遥かに超えてしまうほどの言葉にならない幸福感に、まるごと包まれている。
好きな人と、「好き」と言ってくれた人と、同じ気持ちで繋がれる。
そのことが、こんなにも幸せだなんて、知らなかった。
「……っ、梨乃、ごめん……」
理人のかすれた声に、そっと目を開く。
「俺、今回あんまりもたないかも……」
「え?」
「梨乃が俺のってだけでもう……なんか、幸せすぎて。正直、挿れてるだけでイキそう」
「……」
その声音は、思わず吹き出しそうになるほど切実で。けれど同時に、どうしようもなく、泣きたくなるくらい——愛おしかった。