治療不可能な恋をした
「え?別になんも疲れてねえけど。もしかして梨乃、しんどい?足痛いとか」
「えっ、違うよ!私は全然」
「本当か?俺に気遣って無理してないか?」
「してないよ。スニーカーで来たし、足も痛くないよ。むしろそれは理人でしょ?ずっと運転してくれたし……」
「俺のことなら心配すんな。逆にテンション上がりまくってるくらいだよ」
「……そう?それならいいけど……」
嘘のようには見えず、さっき感じた違和感も今は消えている。
(なんだったんだろう……)
少し首をかしげながらも、理人と並んで歩く時間を楽しもうと気持ちを切り替える。
そのまま石畳を進むと、遊歩道沿いに小さな撮影スポットが現れた。手すりのある展望ベンチに、紅葉に染まる渓谷を背景に写真が撮れる場所だ。
「なあ、ここで一緒に写真撮ろうぜ」
理人が目を輝かせ、さりげなく笑いながら手を差し伸べる。
「え、一緒にって…。私と理人が?」
「他に誰と撮るんだよ。旅行の思い出に、な?」
理人の瞳が期待に輝き、覗き込むように近づいてくる。周りには観光客がたくさんいて、ただでさえ目立つ理人と一緒に写真なんて、間違いなく注目を浴びてしまう。
そう思うと急に恥ずかしくなり、梨乃は顔を赤くして目を泳がせた。
「……梨乃。お願い」
追い討ちのように言われ、思わず小さく息をのむ。