傲慢王子の放浪譚〜調子に乗りまくって王位継承権を失いかけている崖っぷち王子の成長物語〜

結婚式の翌日。
ルーベンス宮殿のプライベートエリアでは、
家族の食事会が設けられた。
家族が集う席で、
話題は自然と「次はフィリップの番だ」
と結婚の話へ向かう。

いい年をしてめぼしい相手がおらず、
強がったフィリップは、
嘲笑を浮かべて言いはなった。
「俺に釣り合う女などいない。そういえば、かつての俺の妃候補たちは全員平凡な貴族に嫁いだらしいな。俺と結婚すれば、皇后になれたっていうのに。」

その瞬間、周囲に静かな緊張が走る。
そして、ついに姉エリアナが爆発する。

「フィリップ、いい加減にしなさい！あなたが皇族だから誰も寄りつかないんじゃない！人として最低だから、皆離れていったのよ！」

さらに、父・皇太子アレクシスも口を開く。
「今まで我慢してきたが、もう限界だ。お前は王の器にあらず。このまま態度を改めないなら、帝位はクラウスに譲ることになるぞ。」

フィリップに追い打ちをかけたのは
8歳になる姪・キアラ王女である。
「女性を見下すなんて、叔父様って最低な男ね。」
幼い子供だからこそのストレートな物言いは
フィリップの心に突き刺さる。

プライドの全てが崩れ落ちる音を、
フィリップ自身が聞いた気がした。