断罪の鐘で永遠を誓う ~かつて攫われた王妃候補は、最愛の誘拐犯に会いに行く~
その日は、初雪が観測された。観測史上、最短ともいえる早さの雪。
しかし、そんな話は一切出ず、城内には緊張感のある空気が満ちていた。使用人はバタバタと忙しなく走り、所々で怒号が飛び交っている。
「朝から騒々しい。何があったんだ」
「お、王太子様…」
王太子の顔を見た使用人は、一様に顔を青くしている。その中で、王妃候補として2番目に有力視されているミラエラが、王太子の前に進み出た。
「おはようございます、王太子様」
「…ミラエラか。これは一体何の騒ぎなんだ」
睡眠を邪魔されたことにより、不機嫌極まりない様子の王太子。ミラエラはそんな彼に怯えることなく、眉を下げて悲しそうな顔を作った。
「はい。エレナさんが失踪されたようです」
「は…?」
王太子は、ミラエラの言葉に言葉を漏らした。
そして次の瞬間、
「なら、どうしてお前はここに居るんだ」
「ぇ」
ガシャン!!!
ミラエラの髪をかすめた花瓶は、無常にも奥の窓ガラスに当たった。窓ガラスも、花瓶も割れる。
いよいよミラエラは、その端正な顔を青くした。
「なぜ探しに出て行かない。なぜのうのうと、お前がここに居るんだ。ああ、だからエレナ以外の王妃候補なんていらないと言ったのに。使えない」
「お、王太子様…?」
ぶつぶつと呟く王太子に、ミラエラは震える手を伸ばす。王太子はその手を払うと、舌打ちをした。
「お前がエレナに危害を加えようとしていたのは知っていた。証拠を掴むまで泳がしていたら、このザマだ。ああでも、危害を加えられる前に察して逃げるなんて、流石エレナだ。きっと身を守るために、泣く泣く城を出たのだろう。本当に賢い」
ここまで来ると、狂気の沙汰だ。それは王太子の様子を見ていた皆が感じたことだった。
執着 依存 束縛 狂愛
異常なまでの狂気に、皆が恐怖を感じていた。何も自覚がないのは、当の本人だけ。
「いいか。何としてもエレナを連れ戻せ。どんな手段を使ってもいい。どんな奴を殺してもいい。エレナを、『無傷で生きて』連れ戻すんだ。そうしなければ、」
全てを言い終えるよりも早く、ミラエラは震えながら走っていった。
王太子は、割れた窓から吹き込む痛いほどの風に、その顔を顰めた。
「……だから雪は嫌いなんだ」
__一度ならず、二度までも。
愛する人を攫う雪を、王太子は恨めしく睨むのだった。
しかし、そんな話は一切出ず、城内には緊張感のある空気が満ちていた。使用人はバタバタと忙しなく走り、所々で怒号が飛び交っている。
「朝から騒々しい。何があったんだ」
「お、王太子様…」
王太子の顔を見た使用人は、一様に顔を青くしている。その中で、王妃候補として2番目に有力視されているミラエラが、王太子の前に進み出た。
「おはようございます、王太子様」
「…ミラエラか。これは一体何の騒ぎなんだ」
睡眠を邪魔されたことにより、不機嫌極まりない様子の王太子。ミラエラはそんな彼に怯えることなく、眉を下げて悲しそうな顔を作った。
「はい。エレナさんが失踪されたようです」
「は…?」
王太子は、ミラエラの言葉に言葉を漏らした。
そして次の瞬間、
「なら、どうしてお前はここに居るんだ」
「ぇ」
ガシャン!!!
ミラエラの髪をかすめた花瓶は、無常にも奥の窓ガラスに当たった。窓ガラスも、花瓶も割れる。
いよいよミラエラは、その端正な顔を青くした。
「なぜ探しに出て行かない。なぜのうのうと、お前がここに居るんだ。ああ、だからエレナ以外の王妃候補なんていらないと言ったのに。使えない」
「お、王太子様…?」
ぶつぶつと呟く王太子に、ミラエラは震える手を伸ばす。王太子はその手を払うと、舌打ちをした。
「お前がエレナに危害を加えようとしていたのは知っていた。証拠を掴むまで泳がしていたら、このザマだ。ああでも、危害を加えられる前に察して逃げるなんて、流石エレナだ。きっと身を守るために、泣く泣く城を出たのだろう。本当に賢い」
ここまで来ると、狂気の沙汰だ。それは王太子の様子を見ていた皆が感じたことだった。
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異常なまでの狂気に、皆が恐怖を感じていた。何も自覚がないのは、当の本人だけ。
「いいか。何としてもエレナを連れ戻せ。どんな手段を使ってもいい。どんな奴を殺してもいい。エレナを、『無傷で生きて』連れ戻すんだ。そうしなければ、」
全てを言い終えるよりも早く、ミラエラは震えながら走っていった。
王太子は、割れた窓から吹き込む痛いほどの風に、その顔を顰めた。
「……だから雪は嫌いなんだ」
__一度ならず、二度までも。
愛する人を攫う雪を、王太子は恨めしく睨むのだった。

