断罪の鐘で永遠を誓う ~かつて攫われた王妃候補は、最愛の誘拐犯に会いに行く~
「依頼料は前払いしますし、言い値で構いません」
「ミラエラ・ダローネガからの依頼はどうするつもりだ」
「彼女は私が王妃候補として存在していることが気に入らないはずです。全てを捨てて失踪した女の末路なんて、死んだも同然。きっと、気にしませんよ」
そう言い放つと、何でも屋は顔を引き攣らせた。
「俺がそこまで危険を冒す利点がないだろ。現に、お前を誘拐したラドルは処刑されかけたんだろ?」
「何でも屋までやっておきながら、今更命が惜しいんですか?」
煽るようにそう言い放つ。
少し考えた後、彼は耐えきれなくなったかのように大声で笑いだした。突然の変わりように、驚いてしまう。
「あー…面白いなお前」
「え?」
「分かった。その依頼引き受けてやる」
「本当ですか!?」
「ああ。でも条件がある」
何でも屋は、脈を確認するように、私の首に手を添えた。
「もし、俺に何かあっても、お前だけは逃げて生きろ」
「どういうことですか?」
「そのままの意味だよ」
彼はナイフを完全に仕舞うと、改めて口を開いた。
「俺の名前はテレトスだ。昔のことは覚えていないから、ファミリーネームはない」
「テレトスさん、でいいですか?」
「好きに呼べばいい」
そう言って彼が笑った時、ふと何かが降るのが見えた。白がチラチラと舞い落ちる。
「ん?初雪か?今年は異常に早いな」
彼は何でもないかのように、空を見上げてぼそりと呟いた。
「テレトスさん」
「何だ?」
「寒い上にまだ足に力が入らないので、抱っこしてくれませんか?」
「はぁ?…ったく、しょうがないな」
手を伸ばして抱っこをねだると、彼は渋々ながらも簡単に抱き上げてくれた。
彼の首に腕を回して暖を取れば、「冷てぇ」と小言をいただく。
「テレトスさん」
「どうした」
「11歳の私が誘拐された日も、ちょうど初雪だったんですよ」
「……そうかよ。でも今回は誘拐じゃなくて、自分の意思だろ」
「ふふっ、実はあの時も私の意思だったんです」
「変わった誘拐がお好みなことで」
雪が静かに降る中、1人分の足音と2人分の笑い声だけが墓地に響き渡った。
「ミラエラ・ダローネガからの依頼はどうするつもりだ」
「彼女は私が王妃候補として存在していることが気に入らないはずです。全てを捨てて失踪した女の末路なんて、死んだも同然。きっと、気にしませんよ」
そう言い放つと、何でも屋は顔を引き攣らせた。
「俺がそこまで危険を冒す利点がないだろ。現に、お前を誘拐したラドルは処刑されかけたんだろ?」
「何でも屋までやっておきながら、今更命が惜しいんですか?」
煽るようにそう言い放つ。
少し考えた後、彼は耐えきれなくなったかのように大声で笑いだした。突然の変わりように、驚いてしまう。
「あー…面白いなお前」
「え?」
「分かった。その依頼引き受けてやる」
「本当ですか!?」
「ああ。でも条件がある」
何でも屋は、脈を確認するように、私の首に手を添えた。
「もし、俺に何かあっても、お前だけは逃げて生きろ」
「どういうことですか?」
「そのままの意味だよ」
彼はナイフを完全に仕舞うと、改めて口を開いた。
「俺の名前はテレトスだ。昔のことは覚えていないから、ファミリーネームはない」
「テレトスさん、でいいですか?」
「好きに呼べばいい」
そう言って彼が笑った時、ふと何かが降るのが見えた。白がチラチラと舞い落ちる。
「ん?初雪か?今年は異常に早いな」
彼は何でもないかのように、空を見上げてぼそりと呟いた。
「テレトスさん」
「何だ?」
「寒い上にまだ足に力が入らないので、抱っこしてくれませんか?」
「はぁ?…ったく、しょうがないな」
手を伸ばして抱っこをねだると、彼は渋々ながらも簡単に抱き上げてくれた。
彼の首に腕を回して暖を取れば、「冷てぇ」と小言をいただく。
「テレトスさん」
「どうした」
「11歳の私が誘拐された日も、ちょうど初雪だったんですよ」
「……そうかよ。でも今回は誘拐じゃなくて、自分の意思だろ」
「ふふっ、実はあの時も私の意思だったんです」
「変わった誘拐がお好みなことで」
雪が静かに降る中、1人分の足音と2人分の笑い声だけが墓地に響き渡った。