勇者に婚約破棄された魔女は、魔王に婚約を申し込みに行きました。 ~かつて最恐と呼ばれた魔女の封印は、無知な勇者が解きました~
 ジアンナが去った後、執務室には静寂が訪れた。言葉にはしないものの、2人は嵐が過ぎ去った後のようであると感じていた。

「最恐の魔女はあんなにも幼いのか…?」
「僕も意外でした。噂では、孤高で暴虐な魔女だと聞いていましたが…ほら、世界を滅ぼしかけた話があるぐらいですし」
「……もしかしたら、周りが怯えすぎていただけなのかもな」

 厳かな椅子に深く腰掛けた魔王は、細く息を吐く。その姿を、ハンツは静かに見つめていた。

 魔王というだけで恐怖の対象にされているのも、
 魔女というだけでいつまでも過去の話をされるのも、

 きっと、似たようなものなのかもしれない、とハンツは思った。
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