勇者に婚約破棄された魔女は、魔王に婚約を申し込みに行きました。 ~かつて最恐と呼ばれた魔女の封印は、無知な勇者が解きました~
「良いか、ライアン。お前がやるべきことは1つだ」

 国王は、冷酷な目でライアンを見据えた。

「【最恐の魔女】を再び封印し、ここに連れ戻してくるのだ。お前が解いた封印なのだ。お前の手で、再び彼女を封じ込めよ」

 ライアンは、国王の言葉に息をのんだ。あの恐ろしい魔力を目の当たりにした今、ジアンナを封じ込めるなど、今の自分にできるのだろうか。

 先ほど返したばかりの装飾品が、自分の目の前に投げられる。合計5つの、封印のまじないがかけられた装飾品。


「必ずや、ジアンナを連れ戻して参ります!」


 ライアンは、そう力強く答えた。彼の心の中には、恐怖と後悔、そして、かすかな使命感が渦巻いていた。

 俺は、勇者だ。
 悪は、滅ぼさなければならない。
 
「…よいか、ライアン。これは、お前の勇者としての存在意義を証明するための、最後の機会だ。失敗は許されない。もし、再び魔女に逃げられでもしたら、その時は……」

 国王の言葉はそこで途切れたが、その続きは、ライアンにも容易に想像できた。失敗は、死を意味する。
 ライアンは、静かに頷いた。

「必ず、成し遂げてみせます」

 ライアンはそう誓うと、重い足取りで王城を後にした。
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