長い春の先にあったのは
募っていく気持ち(仁side)
日曜日の夕方。俺は緊張しながらジュエリーショップの前にいた。藍の誕生日プレゼントを買ったことがあるから、こういう店に入るのにそれほど抵抗はなくなった。だけど、今回この店に来るのは藍への婚約指輪を買うためだからな……。

「いい指輪を選ばないとな」

藍の喜ぶ顔を浮かべていると、電話がかかってきた。捜査員の誰かかと緊張したが、名前を見てドキッと心臓が高鳴った。ーーー藍からだ。

電話に出るべきか迷った。でも電話に出たら、プロポーズをするという気持ちがバレてしまうような気がして怖くなった。だから電話に俺が出ることはなかった。ポケットの中にスマホを入れた時、「お〜い!」と声がかけられる。

「仁!久しぶり〜」

ベリーショートにボーイッシュな服。パッと見ただけじゃ男に見えるが、こいつはれっきとした女だ。名前は神崎樹里(かんざきじゅり)。警察学校で知り合った奴で、交通機動隊に配属されている。見た目だけでなく中身も男勝りで気が強い。

「仁が結婚かぁ〜。彼女さんはどんな人なわけ?」

「まだ写真見せてなかったか。この人」

「へぇ〜。綺麗な人じゃん!」
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