長い春の先にあったのは
連れて行きたい場所(仁side)
助手席に座る藍の表情はずっと固かった。久しぶりのデートで緊張してんのか?でも、固い表情は目的地に到着すると崩れていった。

「えっ……ここって……」

ドレスが多く揃うブティックに藍は驚いていた。だろうな。こんなところ、連れて来たことなかったもんな。

「藍、行こうぜ」

藍の手を引いて店の中へ。藍は辺りをキョロキョロと不安そうに見ていた。今日のために事前に予約をしておいたから、何も問題ない。

「いらっしゃいませ」

店員が頭を下げてくる。黒いスーツをビシッと着こなし、その顔には客を安心させる笑顔。うん。いい雰囲気だ。

「じ、仁くん!何でこんなところに?」

藍が不安そうに訊ねる。こいつ、こんなにも可愛かったっけ?自然と笑みを浮かべながら、「そんな心配しなくてもいいって」と言い、店員を呼んだ。

藍が店員と共に店の奥へ入って行く。俺も着替えるために別室に入った。そこには、すでに今日着るためのスーツが用意されている。

神崎が、ドレスアップするならとこのブティックを教えてくれた。あいつ、男っぽい感じだけどこういう店にやけに詳しいな。
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