長い春の先にあったのは
藍を椅子に座って待つ。ドレスを選んだりするのは時間がかかるだろう。しばらく待っていると、藍が店の奥から姿を見せた。いつもの藍も綺麗だが、今日の藍は一段と綺麗だ。

「仁くんも着替えたの?」

「ああ。着替えないといけないからな」

ジッと藍を見つめてしまう。自然と俺の手が藍の頰を撫でた。

「すごく似合ってる」

「あ、ありがとう」

藍はドレスアップしたことで緊張しているようだ。表情がまた固くなってしまった。そんな藍に「行くぞ」と声をかける。プロポーズをする舞台はここじゃない。今からが本番なんだ。

車を走らせ、神崎がプロポーズをする場所として人気のレストランがあるホテルを教えてくれた。芸能人も通うほどの人気のホテルらしい。

「ここって……」

ホテルを見た藍はポカンとしていた。俺は笑い出したくなるのを堪え、藍の手を取る。

「ほら、行くぞ」

エントランスホールを通り過ぎ、エレベーターの中へ。最上階のボタンを押す。エレベーターが一気に上昇し、最上階へ到着する。

俺と藍は、夜景が綺麗なレストランへと入った。
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