長い春の先にあったのは
壊れていく春(仁side)
藍は指輪を見たまま黙り込んでいる。俺は戸惑っていた。すぐに「はい」と返事をしてくれると思っていたから。

「藍?」

名前を呼びながら彼女を見つめる。藍は無表情のまま指輪を見ていた。しかし、息を吸い込んで口を開く。

「私、てっきり今日振られるんだと思ってた。ボーイッシュな女性とジュエリーショップにいたでしょ。あの人にプレゼントする指輪を選んでたんだと思ってた」

「ち、違う!あいつは浮気相手なんかじゃない!仲のいい警察官だ!俺には藍しかいない!」

「浮気相手じゃないなら、どうして私の知らない女性とジュエリーショップにいたわけ?」

「それは、この指輪を選ぶためだ!」

あの時の様子を見られてたのかよ、と額に汗が浮かぶ。必死に弁明する俺の前で、藍がテーブルを叩いて立ち上がった。

「どうして知らない女と指輪を選ぶの!?私が「綺麗な指輪ね。あの人のセンスいいんだね」って喜ぶと思った!?大切なプロポーズの瞬間に、浮気相手だと思っていた女と選んだ指輪なんて誰も受け取りたくないわよ!!」

藍が怒っている。こんなに怒る藍を見たのは初めてだ。慌てて「落ち着けよ」と声をかけたけど、藍の怒りは収まることはない。
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