独占彼氏の“好き”が止まりません

第5話「はじめての恋人」

柱:校舎裏の静かな通路・放課後

ト書き
夕日が長い影を落とす静かな廊下。
部活を終えた心音が帰ろうと歩き出した、その先に無言で歩み寄る颯真の姿。
足取りは速い。
まるで追いかけてきたようで、心音は思わず立ち止まる。
息を整えもせず、颯真はその場で言った。

颯真「……心音、ちょっと来て」

ト書き
心音、そっと頷いて、ついていく。

柱:同日放課後・非常階段前の踊り場

ト書き
夕暮れの光が差し込む静かな場所。
颯真は階段の手すりの前で立ち止まり、深く息を吐いた。
心音は、背中越しに伝わる緊張と熱に、喉がきゅっと締めつけられる。
ゆっくりと振り返った颯真。

颯真「……ずっと我慢してた」

ト書き
その瞬間。
心音の心臓がドクン、と大きく鳴った。

心音(心の声)「え……なにを……我慢して……?」

颯真「友達でいいって自分に言い聞かせてた。でも……無理だ。好きなんだ、心音が」

ト書き
もう隠しきれないとばかりに溢れ出す声。
心音は息を呑む。
胸がじん、と熱くなる。
颯真は拳を握りしめたまま、苦しげに続ける。

颯真「他の男子と話すのも……笑うのも……平気なふりしてたけど、全然平気じゃない。心音が俺以外を見てるだけで……胸が痛くなる。……怖いんだ」

心音(心の声)「……そんな……そんなふうに思ってたなんて……知らなかった……」

ト書き
心音、胸の奥がじんじんと熱くなり、息がうまくできない。

心音「颯真……」

ト書き
彼が一歩、心音へ近づく。
影が重なり、視線が絡まる。

颯真「ごめん、昨日のキス……本当はもっと先に言うべき言葉があった。でも、心音を前にしたら全部飛んだ。……俺、心音じゃなきゃ嫌だ。他の誰かに渡したくない。……だから、俺の彼女になってほしい」

ト書き
あまりに真っ直ぐで、苦しいほどに強い告白。
心音の胸に深く刺さる。

心音(心の声)「そんな言い方……反則だよ……泣きそうなくらい、胸が……熱い……」

ト書き
心音は涙がにじみそうになり、視線を落とす。

心音「そんなふうに……思ってたの?」

颯真「思ってた。ずっと前から」

心音(心の声)「怖いくらい真剣で、重くて……でも。胸の奥があたたかい……これって……」

ト書き
心音はそっと顔を上げる。
颯真の視線とぶつかる。

心音「……私も、好き……かもしれない」

ト書き
颯真の目がはっきりと揺れた。

颯真(不安で震える声で)「……かもしれない、じゃなくて。ちゃんと言って」

ト書き
心音はゆっくり息を吸い、覚悟を決めるように吐く。

心音「……好き。颯真が好き」

ト書き
言った瞬間、颯真は動きを止めた。
そして次の瞬間、彼は心音を抱きしめた。
強くではなく、壊れ物を扱うように、震える腕で。

颯真「……ありがとう……もう、離さない」

ト書き
心音はそっと腕を回す。

柱:同日・夕暮れの帰り道

ト書き
並んで歩く二人。
自然に指先が触れ、絡まり、しっかり繋がれる。
颯真は歩きながら、何度も横目で心音を見る。
見るたびにほんの少し顔が緩む。

颯真(小声)「……嬉しい……信じられない。心音が俺の彼女になるなんて……」

心音(心の声)「好きって……こんなに胸が温かくなるんだ。知らなかった……」

ト書き
戸惑いながらも、心音の表情は静かに幸福を帯びていた。
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