キミの気持ちに気づく瞬間

第2話 偽装交際

 私のことを呼び出した蒼は、たどたどしく話し始める。
 私のことを心配くれているのだろう。
 そんな必要はないのに。

「花凛は、その……平気か?」
「私?」

 私は平気だ。
 平気に決まっている。
 だって……

 平気じゃないのは、むしろ蒼のはずだ。

「直哉のこと、ずっと好きだっただろ?」

 私はそれには答えなかった。

 自分は沙里奈のことが好きなくせに。

 それなのに私のことを考えてくれる蒼は、人がいいと思う。
 あるいは、それだけショックを受けているからこそ、私のことまで思いやれるのかもしれない。

 バレないように、そっと息を吐く。

「たぶんだけど、今日の放課後ふたりから報告があると思うんだ」

 私と蒼、直哉、沙里奈の4人は、入学以来ずっと仲良くしている。
 そのグループの中から、昨日めでたくカップルが誕生した。
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