キミの気持ちに気づく瞬間

「ツラいだろうから、花凜は用事があることにして、俺だけ聞いておこうか?」
「えっ、そんなのダメだよ!」

 あんまりな提案に声が強くなる。

「私は4人でいる時間が好きなの。直哉と沙里奈が、今まで通り4人でも仲よくしたいと思ってくれるなら、私だってそうしたいもん」
「まあな。俺だってそう思う」
「でしょ? だったら、一緒にふたりのことを祝福しよう。ね?」

 必死にお願いした。
 それなのに、蒼はまだ疑っているみたいだ。

「花凜は、あのふたりの前でも普通にできるか?」
「できるよ」
「ホントに?」

 私にできないだろうと思っている蒼の顔に、いい加減イライラしてきた。

 できないのは私じゃなくて、蒼のほうでしょ?

 失恋をしたにはしたけれど、そこまで堪えていないフリをする。

「そんなに私が心配なら、適当に彼氏作ってもいいよ」

 今のままの4人でいられるなら、そこまでしてもいい。
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