転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜
 顧問が満足そうに頷いた。
 
「よぉし、これで全員揃ったな。じゃ、あらためてルリルリよ、挨拶を頼む!」

 お前、何者だよ……という視線を浴びても、自信満々にガッハッハと笑っているこの先生は、旧校舎の地縛霊みたいなものだ。学園内なら自由に歩けるし姿も見える。

 実際に会ったらそういう意味で怖いかと思ったけど、怖くないな。不思議と存在が周囲に溶け込んでいる。

「は、はい。ラビッツさんもありがとうございます」

 顧問がクラッカーを全員に渡している。俺も手渡された。どこから出したんだよと言いたいが、学園長に手配してもらったんだろう。

「えっと、学園内で起こる魔法に関するちょっとしたトラブルは、生徒の目だからこそ気づけることもある、と学園長先生に言われまして、『学園パトロール隊』を結成することにしました。名称は好きにしていいと言われたので、私が勝手に決めちゃいました」

 昨年までは学園警備隊だったんだよな。

「頼りない隊長かもしれませんが、皆さんよろしくお願いします。本日より――、」

 ルリアンがあらためて全員を見回した。

「ここにいるメンバー六人と顧問の先生で、学園パトロール隊、結成です!」

 ――パーン!

 俺とリュークがすぐにクラッカーを鳴らすと、他のメンバーも続いてパンパンとカラフルなテープを勢いよく飛ばした。そのへんの机にひょいと置いて、全員で拍手をした。

「はっはぁ! 青春だなー! 若いっていいなー!」

 顧問が一番はしゃいでるんじゃないか? おかしいな、ゲームではここまではしゃいではいなかった気がするんだが……。さすがに脇役の顧問の台詞までは、あまり覚えていない。

「じゃ、年食ったじじいの俺は退散するぜ。顧問カマーンっと呼んでくれればいつでも参上するからな。さらばだ!」

 腕をあげて、シュバッとすごい速さで顧問がいなくなった。

「ルリルリ……あの人、本当に顧問なの」

 ベル子が不安そうだ。

「は、はい。一応。学園長先生から話は聞いています」
「そう」

 俺とラビッツは視線を交わすだけだ。何者か知っているだけにな……。

「学園長には私からも直接聞いてみるわ。それでは、ごきげんよう。私はもう行くわ」

 オリヴィア……。
 やっぱり一言謝っておきたいな。

「悪い、皆はここで仲を深めていてくれ。俺はちょっと、オリヴィア嬢に話がある」

 俺を一瞥した彼女と、一緒に廊下へ出た。


 
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