友情結婚って決めたのに 隠れ御曹司と本気の恋をした結果
「莉子ちゃん! ヘルプ!」

 私には難解な言葉を口にする彼と会話を楽しむ暇などないのだ。
 慌ててカメラを構えて試し撮りをしていた彼女を呼び寄せれば、莉子ちゃんは呆れたようにあちらの状況を説明してくれた。

「ディレクターさんに会えなさすぎて、もう限界なんだって」
「蛍くん、だよね?」
「たろーちゃん、モデルのお仕事がない時は社長業のサポートをしてるから……。耳がタコになるくらい聞かされて、ストレスでどうにかなりそうなんだって」
「でも、お互いにお仕事が大変で……」
「1日フルにお休みするのは、無理かもしれないけどさ? 1、2時間だけでも、調節できないかなー? このままだと、2人だけじゃなくてたろーちゃんまで壊れちゃうよ!」

 莉子ちゃんの心配そうな声を聞き、私は慌てて目の前の九尾くんへ視線を移す。
 確かに彼は、数か月前に病院で姿を見た時よりもげっそりとしているような気がした。
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