弱さを知る強さ

◎恭介◎

今日の業務もひと段落して
家に帰った

晩御飯も軽く食べて
シャワーを浴びたらソファで寝落ちてた

...プルルル

病院からの電話でおきた
オンコールは珍しくない

「...はい金森です」

『恭介?俺だけど』

同期の真田 春樹(さなだ はるき)だった

「どうした?」

『いま救急に神田 あやはさんが運ばれてきた
お前知ってるか?』

今日の昼、訪ねてきたのはやっぱり体調不良だったんだ

「知ってる、状態は?」

『腹痛は治ったみたいだが点滴を自抜して治療を拒否してる
それ以降ルートもとらせてくれないし検査もしてくれない
軽くエコーは意識ない時にできたんだけど』

「腹痛があるのはわかっていたから受診するように言ってたが5ヶ月くらい前だからその間放置してたんだろな」

『お前の予想は?』

「会話すらしてくれないから見当がつかない」

『そうだよな、、、』

「今から行くわ」

『いやいいよ、明日当直だろ?』

「目が覚めたし散歩がてらちょうど良い」

『わかった、お前が来ること言わないほうがいいか?』

「うん、今日の夕方逃げられてるし」

『わかった』

歩いて5分で病院に着く
急いで着替えて向かった

医局に荷物を置いて白衣をきて救急に向かった
春樹が救急で他の患者の治療をしていた

「どこにいる?」

「2」

「おけ」

救急の第二診察室に入ると
彼女が横になっていた

「元気か?」

俺の声に聞いて目を開けた

「金森先生」

俺の名前を呼んだ
覚えていたことにびっくりした

「大丈夫か?」

コクッ

「大丈夫なやつが救急車で運ばれたりしない」

「...」

「そろそろ限界だろ、治療しろって」

「...」

「まずは色々検査をして診断が必要だ
拒否してるみたいだけどやらないと病気のことわからない」

「...」

「とりあえず会話をする気になったら呼んでくれ」

「今日は帰ります」

「やっとしゃべってそれか?」

「だって...
検査はしないです。治療も受けない
ここにいてもやることないです」

「なんで今日の夕方、俺を訪ねてきた」

「別に理由は...」

「あるだろ理由が」

「...」

「だんだん悪くなってる自覚あるんだろ」

「...」

「看護師になるのか?」

「えっなんで知ってるの」

「こないだ見舞いに来てた子が看護学生でその友達って言ってたからお前もそうなんだろなと思って」

「今年は実習、来年には国家試験がある」

「あと2年か」

「...」

「実習や国試に向けて体力つけないとな」

「最近、お腹が痛くて勉強も実習も集中できない
痛み止めも効かない」

「そりゃ元の原因を突き止めて治療しないと」

「もっと効く痛みどめないの?」

「今のお前に渡す薬はない
看護の勉強してるならわかるだろ」

「...」

「痛み止めに頼らず治療しろ」
 
「...」

「おーーい」

「今日は帰ります」

「帰ってまた倒れたらどうする?」

「大丈夫です、痛み止め買って帰るから」

「はぁ...」

「会計お願いします」

「お前ほんと頑固だな」

「入院とか手術とか絶対にできない
色々調べたけど可能性ありそうだったから。」

「とりあえず身体の中調べるだけ調べてみよう
今どんな状態なのか俺も知りたい」

「...」

「今日やらなかったら俺はお前にはもう関わらない
悪化して急変しても責任とれない
ただ今日までは夕方もきたし夜もきたしどんな結果でも責任もってみるよ」

「今日は帰る」

「はぁ...わかった
会計して帰れ」

なかなか治療を受けようとしない
こんな患者は初めてでしかも若過ぎて
どう接して良いかわからない

帰りたいなら帰すしかない

でもこれ以上は命に関わる気がする
医師として無理矢理にでも治療受けさせるべきだったかそれからしばらく悩んだ


< 11 / 146 >

この作品をシェア

pagetop