私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
なんて言いつつ、学生の頃からずっと菜穂が好きなのは知っている。一度、健からそう打ち明けられて以来、一途な健を密かに応援している。
たっぷりと湯気を吸い込んだコートを羽織り、私たちはもつ鍋屋の暖簾をくぐった。
温かい店内にいた時には気づかなかったが、外の空気は十一月らしい、肌を刺すような冷たさになっていた。
「あー、さっむ! もう冬じゃん」
菜穂が両腕をさすりながら大げさに身震いすると、健が「おら、俺のマフラー貸してやるよ」なんて言って、自分の首に巻いていたそれを菜穂の頭にぐりぐりと押し付ける。
「ちょ、やめろ! 髪崩れる!」
いつものようにじゃれ合う二人と、その横で「じゃあまた」と頭を下げる唯ちゃん。
私は駅へと続く明るい大通りに消えていく三人に「バイバイ」と手を振ると、隣に立つ一ノ瀬を見上げた。
私たちの家は、駅とは反対方向の静かな住宅街の中にある。ここからは、必然と二人きり。
「一ノ瀬は今日は徒歩なんだ」
「さすがに寒い」
「なるほど」
「帰るか」
「だね!」
どちらからともなく、私たちは同じ方向へと、ゆっくりと歩き出した。
さっきまでの賑やかさが嘘のように、辺りは静まり返っている。冷たい夜気がアルコールで火照った頬に心地いい。
お店で飲んだカクテルが、まだ体の芯をぽかぽかと温めている。
「わぁ~、目が回ってるー!」
たっぷりと湯気を吸い込んだコートを羽織り、私たちはもつ鍋屋の暖簾をくぐった。
温かい店内にいた時には気づかなかったが、外の空気は十一月らしい、肌を刺すような冷たさになっていた。
「あー、さっむ! もう冬じゃん」
菜穂が両腕をさすりながら大げさに身震いすると、健が「おら、俺のマフラー貸してやるよ」なんて言って、自分の首に巻いていたそれを菜穂の頭にぐりぐりと押し付ける。
「ちょ、やめろ! 髪崩れる!」
いつものようにじゃれ合う二人と、その横で「じゃあまた」と頭を下げる唯ちゃん。
私は駅へと続く明るい大通りに消えていく三人に「バイバイ」と手を振ると、隣に立つ一ノ瀬を見上げた。
私たちの家は、駅とは反対方向の静かな住宅街の中にある。ここからは、必然と二人きり。
「一ノ瀬は今日は徒歩なんだ」
「さすがに寒い」
「なるほど」
「帰るか」
「だね!」
どちらからともなく、私たちは同じ方向へと、ゆっくりと歩き出した。
さっきまでの賑やかさが嘘のように、辺りは静まり返っている。冷たい夜気がアルコールで火照った頬に心地いい。
お店で飲んだカクテルが、まだ体の芯をぽかぽかと温めている。
「わぁ~、目が回ってるー!」