私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
彼女はニッコリ笑うと、「では、担当の者を呼んでまいりますので、少々お待ちくださいね」と言い、離れていった。

あの子が切ってくれるわけじゃないのか。アシスタントさんかな?

彼女の立ち去る姿を鏡越しに見送ると、私は目の前にあったファッション雑誌を手に取り、パラパラとめくった。

美容室なんて久しぶりだな。まだなにもしてもらっていないのに、ちょっとわくわくしている自分がいる。思い切って来てよかった

「いらっしゃいませ、こんにちは」

すると突如、頭上から降ってきた澄んだ声に、私ははっとして顔を上げた。

目の前には、さっきのアシスタントさんとは別の女性が、私を見つめにこにこと微笑んでいた。私は鏡越しでぺこりと会釈する。

「よろしくお願いします」
「後ろ、すごく長いですね。なんだか、切るのがもったいないくらい」

流れるような動作で椅子の高さを調整すると、彼女は私の髪質を確かめるように、その指先で何度も髪に触れる。

長く伸びきった髪が、彼女の白く細い指によって、ふわり、ふわりと空中を踊る。

ハキハキとした物言いで微笑むその顔は、同じ女性である私でさえ、思わず見惚れてしまうほど綺麗だった。

「では、切っていきますね」
「よろしくお願いします」

シャキン、という小気味よいハサミの音がして、私の長い髪がはらりと肩に落ちる。

「カットが終わりましたら、カラーに入りますね」
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