私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~

「いつでも会える距離だよ。新幹線ならすぐなんだから、そんなに寂しがらないでよ」

菜穂は目元を拭いながら「そうだね」と、愛らしく微笑む。菜穂がいてくれたから今の自分がいる。

彼女がいつもそばで支えてくれたから、涼介とのことも乗り越えられた。離れるのは正直寂しいけど、きっと心では繋がってるって信じてる。

「あ、そうだ。ケーキ、買ってきたんだった。食べるでしょ?」
「うん! ありがとう」
「ちょっと待ってて」

そう言うと、菜穂はキッチンへと向かった。そのときふと、コルクボードに貼られた一枚の写真に目に留まる。

「あれは……」

この前みんなで飲み会をしたときの……。確か最後に居酒屋で撮ったんだった。

少し前のことなのになんだかすでに懐かしくて、まじまじと見入る。

菜穂も唯ちゃんも完全に酔っ払いで、変顔を競い合っている。それを見て笑っている私と武。そして隅の方に後ろ姿だけ写る一ノ瀬。
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