私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
そっと仲裁に入るが、唯ちゃんも興奮しているの聞く耳をもたない。彼氏という男性も、オロオロするばかりで全然役に立たないし。来賓の人も、院長だっているのに。困ったな。

「はぁ!? 首輪って人の彼氏をペットみたいに」
「あ、ペットに失礼でした。彼女がいるのにナンパして、怒り狂う彼女を止めることさえできない。犬や猫の方がもう少しうまく立ち回りますよ。ペット以下です」

うわ、言い過ぎだよ……。 

唯ちゃんって一度切れると止まらないから困りもの。いつだったか、クレーマー患者にブチ切れて大変だった。警備員まで駆けつけて、かなりの騒動になったっけ。そのあと反省文書かされて……。

あぁ思い出しただけで、冷や汗が出る。

「あの、冷静に……」

再度仲裁に入る。今度は唯ちゃんの前に立ち、身体で制止した。だがそれがいけなかった。

「うるさい、外野は黙ってて」

その罵声と共に、ピシャッという水音と、甘ったるい液体が頭から降り注いだのだ。

え? 何? 冷たい……。

「り、凛さん!」
「凛!」

唯ちゃんや菜穂が、大きな声をあげながら近寄ってくる。

会場内はさらに騒然とし、その中で私は頭からぽたぽたと雫を垂らしながら呆然としていた。

これは、ジュース? あ、オレンジだな。いや、そんな呑気なことを考えている場合じゃない。

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