私の愛すべき人~その別れに、愛を添えて~
「いや、だから、その……! 昨日は、ほら、あの、あれがあったから、その……」
何を言えばいいのか分からず、言葉が宙を彷徨う。
「あっそ」
一ノ瀬は興味なさげに鼻で笑うと、くるりと踵を返して歩き出した。その素っ気ない態度に私はさらに焦る。
「え、ちょ、一ノ瀬! 聞いてよ! ちゃんと説明するから!」彼の背中に向かって必死に訴えかけるが、一ノ瀬は一度もこちらを振り返ることなく、迷いのない足取りで廊下の奥へと消えていった。
一ノ瀬のクールな態度に私は一人、廊下で立ち尽くすしかなかった。
「人の話を聞きなさいよ、まったく」