(短編・全紹介)紫貴折々

4.【小夜啼鳥】

4.【小夜啼鳥】
登場人物:古海 七帆(うるみ ななほ)・風間 藤九郎(かざま とうくろう)


一般家庭で生まれ育った七帆。祖父の死を境に、相続・遺言から幼馴染の藤九郎が家に同居することになる。
彼は執事を生業とする家系。本来、狭い一軒家に執事など不要。まして、同年代の男と同居など。
家庭環境が違う。幼い頃の関係など、通用するはずもなく。素直さなど、ほど遠く。この感情は……

「俺は、ずっと七帆(ななほ)の事が好きだった。どんな方法でもかまわない。お前に近づけるなら。」
「私が認めなくても、周りが押し通す……」
「俺の意志で、ここにいるんだと……忘れないで。」
遠慮気味な手が、私の頬に触れる。ゆっくり指でなぞるように撫でて、愛おしいものを見るような視線を注いでいく。これ以上、甘く囁かないで。惑わされてしまうから……

(サ終サイトのQ-1グランプリノミネート30作に入ったもの)



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