君のとなりで、恋をする
(この想いは、私の中だけで大切にすればいい)


誰かを想うことは、間違いじゃない。

けれど、想い方を間違えたくなかった。

自分の気持ちをぶつけることより、誰かを傷つけないことを選びたかった。

その決意を胸に、翠はいつもより少し早く動きを終わらせた。

体育館の隅で、仲間たちの笑い声を聞きながら、そっと息を吐く。


(この距離があるからこそ、ちゃんと好きでいられる気がする)


胸の奥が静かに痛む。

けれど、不思議と涙は出なかった。

それは、痛みを受け止める強さに変わりつつある証だった。


(……これでいい。私なんかが、前に出ちゃ駄目だ)







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