君のとなりで、恋をする
──片付けの時間。


結城先輩が近づいてきた。


「長谷川、これ――」


声をかけられただけで、胸が揺れる。

けれど私は、笑顔で「ありがとうございます」と受け取って、すぐに後ろを向いた。

振り返った瞬間、結城先輩の瞳が一瞬だけ揺れるのを見てしまった。


(……ごめんなさい。結城先輩)


胸の奥を押し殺すように、小さく息をつく。

こうして少し距離を置くことが、いまの私にできる唯一の選択だった。






< 116 / 140 >

この作品をシェア

pagetop