君のとなりで、恋をする



(俺……あいつのこと――)


心の中で言葉を途中まで出して、いったん飲み込む。

けれど、もう戻れないところまで来ているのは、自分が一番わかっていた。

自覚した瞬間、胸の奥で何かが決定的に変わった。

今まで誰にも抱いたことのない、本気の想い。

冷静でいることが当たり前だった自分が、彼女の前では何度も崩される。

練習中も、生徒会の話をしている時も、ふとした拍子に思い出してしまうのは、あの不器用な真面目さと、必死で食らいつこうとする眼差しだ。

それが悔しいはずなのに、不思議と嫌ではなかった。

むしろ、嬉しくて仕方なかった。



< 58 / 140 >

この作品をシェア

pagetop