君のとなりで、恋をする
「悪い。借りた」


さらっと返されるボトル。

差し出されたそれを受け取る指が震える。


(ほかにも予備はあったのに――わざわざ、私の?)


頭が真っ白になる。

顔から火が出そうで、目を合わせられない。

自分の胸の音が隣の人にまで聞こえてしまいそうで、怖かった。


「……助かった」


短くそう言って、汗を拭いながら何事もなかったかのようにコートへ戻っていく。

私は、返されたボトルを見つめたまま動けなかった。






< 75 / 140 >

この作品をシェア

pagetop