続・幼なじみの不器用な愛し方
あの日、燃え上がるような熱の中にあったプロポーズとは少し違う。

穏やかな柔らかい空気の中で、しかし確固たる意志を含んだ声がわたしの心を包み込む。

その温度が心地よくて、雁字搦めだった気持ちが解かれていく気配がして。


「それでも俺のことが心配だって言うんなら、俺のことは美月が守ってくれよ」


テーブルの向こうから、有斗がこちらに手を伸ばしてきた。

すらりと長い指を、いつの間にか込み上げていた涙の向こうに見る。

もう二度と触れることのないと思っていた温もりが、すぐそこにある。

お願い、有斗。


「頼むよ。俺の隣で、ただ笑っててくれるだけでいいからさ」


やめて。抱えきれないほどの愛情を滲ませて、そんなふうに見ないでよ。

わたしにはもう、この手を払いのける力は残ってないのに。



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