I 編む
第三章/未知、道
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D &I推進を取り巻く状況は相変わらずだ。
推進というか停滞している、どころか後退しているんじゃないかと感じることもあるくらいだ。
そんなある日、明日美は給湯室で声をかけられた。
成岡さんというDXヘルプデスクに所属している女性だった。
「あの、橘さんて、D &Iなんとかをやってるんですか?」
「はい、そうですけど」
聞けば、成岡さんの5歳になる一人息子は自閉症スペクトラムの診断を受けているという。
夫と協力し、両親の手も借りつつ育児と仕事に奮闘し、今は療育にも通わせている。
今後は特別支援学校へ進学することになるだろうと語った。
「だから、他人事じゃないというか。息子の将来のことを考えるとね。でも恥ずかしながら、息子がこう…障害を持って生まれるまでは、ダイバーシティって聞いても関心がなかったんだけど」
一見すると、パンツスーツがよく似合ういかにも明朗そうな雰囲気をまとった女性なのだけど。
人の抱える事情など、なかなか知り得ないものだ。
D &I推進を取り巻く状況は相変わらずだ。
推進というか停滞している、どころか後退しているんじゃないかと感じることもあるくらいだ。
そんなある日、明日美は給湯室で声をかけられた。
成岡さんというDXヘルプデスクに所属している女性だった。
「あの、橘さんて、D &Iなんとかをやってるんですか?」
「はい、そうですけど」
聞けば、成岡さんの5歳になる一人息子は自閉症スペクトラムの診断を受けているという。
夫と協力し、両親の手も借りつつ育児と仕事に奮闘し、今は療育にも通わせている。
今後は特別支援学校へ進学することになるだろうと語った。
「だから、他人事じゃないというか。息子の将来のことを考えるとね。でも恥ずかしながら、息子がこう…障害を持って生まれるまでは、ダイバーシティって聞いても関心がなかったんだけど」
一見すると、パンツスーツがよく似合ういかにも明朗そうな雰囲気をまとった女性なのだけど。
人の抱える事情など、なかなか知り得ないものだ。