【完結】転生幼魔女は生き延びたい!~唯一無二の力はナイショだよ〜
「もう食べ終わったのか?」

「えと……う、うん……。おいしくて……」

「早食いは身体に悪い。まだたくさんあるから、ゆっくり食べなさい」

 アルフレッドは無表情で諭しながらも、セレスティアの器に二杯目をよそってくれる。しかも一杯目の時と同じように、固い殻を手際よく外し、子供でも食べやすい剥き身にしてくれた。

「ありがとう、おとうしゃま! えへへ、みんなで、たべると、おいしいね!」

 上機嫌な笑顔を向けると、クリスティーヌは「ええ、そうですね」と微笑み、アルフレッドも同意するように頷いた。

「いつもね。ごはん、ひとりでさみしいの……。くりすちーぬさまも、まいにち、おへやでひとり、さみしくない?」

「えっ? 私は……」

 クリスティーヌは言葉を呑み込み、戸惑うように目を伏せた。

 ともに過ごすようになってまだ一ヶ月も経っていないが、彼女はたびたびこうして、言いたいことを我慢してしまう時がある。

 このままでは彼女の感じている不安や息苦しさは、一生アルフレッドには伝わらないだろう。

 ──そう、それこそ離婚に至るまで、ずっと。

 お節介ではあるものの、ここは自分が一肌脱いでクリスティーヌの気持ちを代弁すべきだと、セレスティアは思った。

「くりすちーぬさま。まえに、いってたよね? 『かってなこうどうして、めいわくかけたくない』って」

「えっ、あの、それは……」

「でも、ほら! おそとでても、ぜんぜん、めいわくじゃないっ! いっしょのほうが、たのしい! でしょ?」

「……えぇ、そうですね。一緒に食事を取る方が、楽しいです」

 でしょ!と答えたセレスティアは、次いでアルフレッドの方に顔を向けた。

「おとうしゃま、あのね。これからは、みんなで……。かぞく、さんにんで、いっしょに」

 ──ごはんを、たべたいの。

 そう願いを口にしようとした、その時だった。
 ダイニングルームの扉が開いたことで、おのずとセレスティアの言葉が途切れ、アルフレッドの視線がそちらへと向けられる。

 入室してきたのは家令のジェラールだった。

 セレスティアの前では柔和な微笑みを絶やさない『優しいおじいさん』といった印象の彼だが、なにか深刻な問題でも起きたのか、今は緊迫した雰囲気を漂わせていた。

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