君の事好きになっても良いですか?

「……あっありがと。」



俺はついに胸の奥の焦りが抑えられなく
なった。

全部持っていかれる……
理央に琴音を持っていかれる。
見てるだけじゃ終わってしまう。

そう思うと同時に、体がもう勝手に
反応し行動に出ていた。
俺は息を吸い込み、思い切って水を
かき分けながら2人のところへ向かった。


「琴音!!」
「次俺と泳ご!」


そう言って駆け込むと、
理央も琴音も驚いて振り返る。


「晃!?」


「晃!?なんだよ急に!」

理央は当然、不機嫌になる。
だけどそんなの関係ない。
もう、後悔はしたくない。


「お前ばっか琴音と遊んでんじゃねぇよ。」
「幼なじみの俺にも琴音と」
「遊ぶ権利はある。」


晃……?
私は戸惑いながら晃の真っ直ぐな
眼差しに目が逸らせれなくなった。

晃……こんなの初めて。
こんな表情もするんだ。



俺は、わずかに眉を寄せる。
晃が本気出したのだとすぐにわかった。
本気になる気持ちはすごくわかるから、
俺の言葉はシンプルだった。

「琴音ちゃんがいいなら」
「行っといで。」


選択は又もや私に委ねられた。
晃が不安そうに、私を見てる……。
こんな顔させたくないな……
大切な幼なじみだから。


「晃、一緒に泳ぐ?」


俺は一瞬で笑顔が溢れ出た。
琴音の一言でこんなにも嬉しくなるんだ。


「あぁ!泳ご!」


俺は、琴音の手首を優しく掴む。
理央が掴んでた右手首と同じところを
俺で上書きする。

俺は、琴音を連れて浅瀬の方へ泳いで
行きながら琴音だけに聞こえる声で言う。


「今日さ、琴音が理央と楽しそうに」
「話したり、遊んだりしてて」
「正直めっちゃ焦ってる。」
「俺の事もちゃんと見て欲しい。」

私は思わず立ち止まってしまう。


「晃……?」

言った瞬間、俺の声は微かに揺れた。
俺の正直な気持ち。

「幼なじみってだけじゃなく」
「”晃”1人の男として、琴音に見てほしい。」
「理央ばっかじゃなくて俺もいるって」
「事知ってほしい。」
「好きだよ……琴音。」


私の胸に温かい痛みが走る。
こんな……こんなにも私の事想ってくれてたの?
こんなにはっきり言われたの初めて。


「晃、そんなに想ってくれてたの?」


「想ってるよ。」


晃は真っ直ぐ私の方を向いて言う。


「俺、ただの幼なじみで終わりたくない。」
「琴音が笑うことも、悩んでる顔も」
「ちゃんと俺にも向けてほしいんだ。」



私は少し俯き、波の冷たさを足元に感じながら
私は一旦目を閉じて考える。

私は……理央君が好き、その気持ちは
変わらない。
晃は幼なじみとしてとても大切で……
だからこそちゃんと応えないといけない。




一方理央は……

俺は、少し離れた場所で2人を見守っていた。
平気な顔ができない……。
ただ静かに2人の行動を見る。

きっと、晃は琴音ちゃんに告白した。
それは少し離れた所でも空気でわかる。

焦りが一気に押し寄せる。
不安と焦りと悔しさ……。
琴音ちゃんを大切に想うからこそ
黙って見守ろうとする気持ち。
その全部が入り混じって、
胸がザワついて仕方ない。

琴音ちゃんの表情が気になって
しょうがない……。
琴音ちゃん迷ってるのかな。
だけど、俺も絶対引かないよ。


俺の拳が、海水の中でぎゅっと強く握った。




一方、千歌・夏奈・遥陽は……

砂浜に残った私達は、
ほぼその光景を固唾を飲んで見守っていた。

「夏奈ちゃん、遥陽君……」
「いつものアキ君と琴音ちゃんの雰囲気」
「ではない……多分アキ君琴音ちゃんに」
「ついに気持ち伝えてるかも。」


「晃、もう限界そうだったもんな。」
「理央の積極的な行動が晃を」
「動かしたんだと思う。」


「晃君も琴音ちゃんの事本気なんだもん。」
「遅かれ早かれ動くとは思ってた」
「だけど、今日とはちょっとびっくり。」
「多分、理央の影響も受けてだけど」
「遥陽が千歌ちゃんに告白した」
「影響も含まれてると思う。」

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