君の事好きになっても良いですか?

「晃……ありがとう。」
「私の事好きになってくれて、」
「こんなに想ってくれて。」
「きっと前から好きだったんだよね、」
「私の事を。」
「気付けなくてごめんね。」
「晃が想ってくれた事嬉しいありがとう。」
「でもね……私、理央君が好き。」
「私が前、好きな人いるって」
「みんなに相談した時名前出さなかった」
「けど、実は理央君なの。」
「叶わない恋ってわかってても」
「どうしても頭から離れられない……。」


晃は真剣に私の正直な気持ちを黙って
聞いてくれている。
私の声は震えていたが、しっかりと
言い切る。


「晃……だからごめんなさい。」
「晃とは恋人としては一緒にはいられない。」


胸が張り裂けそうで痛い。
言い終えた瞬間、心臓がえぐられる痛みが
走る。



俺はすぐには何も言えなかった。
ただ、波間を見つめてゆっくり
呼吸を整えるように目を閉じる。

虚しさと切なさと悲しみが心で
ぐちゃぐちゃに混ざる。
だけど俺は、必死に笑おうとした。
ぎごちないけれど琴音を困らせたくない
せっかく正直に俺に向き合ってくれた
から。
だけど……無理だよそんな簡単に……



「やっぱり、理央だったんだな。」
「……そっか……だよな……。」
「琴音がそう言うなら仕方ねぇよな。」


無理に明るく言おうとする声が、
逆に痛いほど弱かった。

そして、琴音の気持ちも聞いたうえで
俺は言う……。



「でも、俺諦めないから。」

俺がその一言を言った途端、
琴音は大きな目を見開く。
ものすごく驚いてるのがわかる。

俺は苦笑いしながらも、
いつもの強気な俺に戻っていった。


「幼なじみで終わりたくないって」
「言ったのは本気。」
「理央に負ける気だってねぇし。」



応えを出したのに、胸が苦しい。
理央君が好きなのに、晃の気持ちが
痛いほど伝わってきて涙が出そうになる。
晃、諦めないって言った……。
私、どうしたらいいの?
もう、気持ちがいっぱいいっぱいで
つい、心の声が漏れる……。

「私、どうしたらいいの?」

もう涙が抑えられなくなった。

「泣くなよ。」
「返事してくれて俺は嬉しいし、」
「これから、俺の事も見てって」
「くれば良いって事。」
「今日は俺の気持ちを伝えたかった」
「だけだから。」
「だから、琴音はこれから」
「俺の事も含めて最終的にどうなるかは、」
「いつでも良いから聞かせて。」
「ずっと待ってるから。」
「意地が悪くてごめんそれだけ本気なんだ。」

そう言って俺は、琴音の頭を優しくポンッと
撫でた。


「晃……。」
「わかった……。」
「晃の気持ちちゃんと受け取ったよ。」
「それを踏まえて、考えるね。」



「うん。」
「それでいい。」
「逃げられるより、ずっといい。」
「ありがとう琴音。」



苦笑いしながらそう言った。

晃の顔は強がりと本気が混じる、
切ない優しさに満ちていた。





俺は少し離れた場所で、
晃と琴音のやり取りを見つめていた。

晃……ついに琴音に告白した……。
遠くからでもわかる。

何を話してるかはわからない。
だけど、琴音が涙を流しているのは
わかった。
目を擦って俯いてる。
そしてそれを晃が頭を撫でなだめる。

俺は居てもたってもいられなくなり、
琴音と晃の所へ駆け寄った。




晃が私の頭を撫でた後、
私達の会話は一旦終わった。

その瞬間、ザッと砂を蹴る音が近付いて
くるとそこには……
顔を上げると理央君が真っ直ぐ
こちらに向かって走ってきた。



「琴音ちゃん!!!」


私を呼ぶ声は、思ったよりも大きく
胸がドキっと跳ね上がる。

私を呼ぶ彼の表情はいつもの穏やかさ
がなく、心配と怒りの表情を見せていた。

理央君が少し息を乱しながら、
私の肩をそっと掴む。


「……泣かされてんじゃん。」

理央君が心配そうに覗き込む。
私は慌てて目元を擦った。

「ち……違うよ……泣いてなんて…」


「泣いてるよ。」
「俺にはわかるよ……。」


「理央……ありがとう。」


「大丈夫?無理してない?」


「うん、無理してないよ。」
「それに悲しくて泣いてるわけじゃ」
「ないから安心してね。」


「それなら良いんだけど。」
「もし、辛いなら言ってね」
「俺、琴音ちゃんの事……」
「心配だから。」

俺は……”琴音ちゃんの事好きだから”
って本当は言いたかった。
だけど、ここで琴音ちゃんに
追い討ちかけるように言ってしまうと
困ってしまうのは目に見えているから
誤魔化す事しかできなかった。



俺は理央の言葉に、ギリッと歯を噛んだ。

そんな顔で琴音を見るな……。

2人が見つめる視線に、嫉妬が滲み出て
幼なじみとして、男として黙ってられ
なかった。


「理央が来る前に俺の気持ち」
「伝えただけだから。」
「琴音は俺の事想って泣いてくれてるだけ。」
「だから、琴音は大丈夫なんだ、」
「平気なんだよ。」



「大丈夫とか……平気とかじゃないだろ!」
「琴音ちゃんが涙流してたら」
「気にすんのが普通じゃないの……!」



「普通……普通って押し付けんなよ!」
「これは俺と琴音の問題だ!」



周囲なの風が吹いて、2人の間の空気が
ピリッと張り詰める。


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