君の事好きになっても良いですか?
*理央*
正直、気付かないわけがなかった。
すれ違う男達の視線が、
琴音ちゃんに集まってきてる。
分かるけどさ……。
浴衣姿……
少しだけ気合い入ったメイク。
そりゃー目を惹かれるよな。
胸の奥がムズムズする。
”俺のだ!”と言いたいけど言えない。
俺は歩く位置を少しずらして、
再び琴音ちゃんを人波から庇う。
そんな中、
今度は女の子達の視線が俺に向けている
のも感じる。
やめて欲しい……
今、見て欲しいのは隣りを歩いてる
琴音ちゃんだけなんだ。
ふと見ると琴音ちゃんが、
少しだけ俺に距離を縮めてきた。
その行動と仕草に、
胸が熱くなる。
もう……可愛いすぎるんだって……。
早く……ちゃんと好きだって伝えたい。
理央 side 終わり
理央君が、
さりげなく前に出て歩いてくれる。
その背中が頼もしくて心が落ち着く
周りからの視線から守られてるみたいで。
私……ずるいなぁ。
理央君が他の女の子に見られて、
ちょっと嫌だなんて思っちゃたりして。
でも、それが正直な気持ちだった。
浴衣の袖越しに、理央君の腕に触れる
形になる。
一瞬、視線が合ってどちらともなく逸らす。
心臓が、また加速した。
人混みの向こうで、花火の音が響く。
「琴音ちゃん、たこ焼きと焼きそばも」
「食べ終えた事だし、そろそろ」
「行こっか。」
理央君の声に私は頷いた。
夜空に、大輪の花火が咲く。
音と光の合間、世界が一瞬だけ
静かになる。
俺達は人混みから離れ、おかの上に
登り花火を見ていた。
俺は琴音ちゃんの前に立つ。
「琴音ちゃん。」
名前を呼ぶと琴音ちゃんは、
少し驚いた顔で見てくる。
「俺琴音ちゃんに伝えたい事がある。」
喉が熱くて苦しい……。
「俺、琴音ちゃんの事好きだ。」
花火の音に負けないように、
はっきり言った。
「琴音ちゃんの笑顔も」
「琴音ちゃんの無邪気に笑うとこも」
「優しいところも、泣いてる時も」
「全てが愛おしい。」
一つ一つ本心だった。
「一緒に居たいって」
「思うのは琴音ちゃんだけなんだ。」
告白を終え、
夜空に再び花火が咲く。
理央君から告白されちゃった。
正直、3日前までは理央君は夏奈ちゃんの
事が好きだと思ってたから、
すごい今も不思議な感じ。
心拍数が、早くなる。
正直、めっちゃくちゃ嬉しくて
飛び跳ねたいくらい、舞い上がってる
感情がある。
それなのに……胸の一番奥には別の
感情が広がっている。
怖い……。
「……理央君。」
声が震える。
どうしよう……うまく言えるか不安になる。
「琴音ちゃん……?」
「私……」
「私……理央君が好き。」
やっと出た言葉。
でも、すぐに続けれられなかった。
「……でも。」
「ん……琴音ちゃんゆっくりで」
「いいよ、琴音ちゃんの思ってる事」
「話して。」
「晃とは幼なじみで……。」
晃の顔が浮かぶ。
小さい頃から、当たり前に隣りに居た存在。
言葉を選ぶ度に胸が苦しい。
「もし、私が理央君と」
「付き合ったら、晃との幼なじみの」
「関係が壊れちゃう気がして怖い。」
「晃からの告白の時も、男として」
「見てって言われて、そんな事」
「言われたうえで私、理央君と」
「付き合ったら晃を傷つけたくなくて……。」
涙が零れそうになる。
「理央君の事好きなのに……。」
「好きって喜んで言えない……。」
自分でもすごくずるいと思う。
理央君、幻滅しちゃっただろうな。