モブ姫に転生したら幽閉されていました  ~二ヶ月後に王家滅亡らしいので逃げるつもりでしたが、なぜか溺愛が始まりました~

 アリエスは大きく息を吐き、呼吸を整えた。

「迷ってしまったのです。申し訳ありません」

 精いっぱい頭を下げて謝罪したが、緊張に満ちた空気が緩むことはなかった。

 これが──暴君と呼ばれる、この国の王。

 その現実を、アリエスは痛感せざるを得なかった。

 スッと金属が鳴り、レオンハルトが腰の剣を抜いた。
 刃が閃いたと思った瞬間、アリエスの首元でぴたりと止まる。

「そんな嘘が通用するわけがない。ここは迷って入れる場所ではない」

 だが確かに、小さな穴から通り抜けられたのだ。

「お前……何者だ?」

 そう言うと同時に、アリエスの首筋にピリッと痛みが走り、温かい液体が一筋伝った。

(この男、子供相手に本気……?)
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