部長と私の秘め事
「補正ブラにしますと、その効果が顕著に出ます。年齢を重ねて少し脇や背中にお肉ができてしまったわ……、という時に補正ブラをつけると、後ろから見たシルエットがスッキリします。同様に、若い頃からガードルを穿く習慣をつけている方は、五十代、六十代になってもお綺麗なヒップをされていますね」
(マジか)
何も対策しなくていいとは思わないけど、うちは痩せ型の家系なので、自分も対して変わらないんだろうなと思っていた。
けど確かに母は『加齢と共にお尻が下がってきた』と言っていた。
(予防できるんなら、それに越した事はないな……)
そう思ってしまうのも、涼さんとの今後の事をつい考えてしまうからだ。
(……綺麗で、……いたいし……)
言い訳するように心の中で呟いた私は、誰にも何も言われていないのに赤面し、パタパタと手で顔を扇ぐ。
「こちらは総レースなのですが、こう見えてホールド力がかなりあるんですよ」
担当さんが見せてきたのは、スッケスケの総レースのブラで、普通のブラみたいにカップがしっかりしていない。
「えぇー? ……またまたぁ……」
私は素で言ってしまったけれど、テレビショッピングの〝フリ〟を作ってしまったなと感じた。
「お着けになってみますか?」
「……つ、つけるだけ……」
新たな発見を得た私は、興味本位で頷き、彼女が後ろを向いている間に新しいブラジャーを着ける。
そしてまたグイッ! グイッ! とされると、さっきのブラよりは補正度は低いものの、確かにしっかり支えて魅力的な谷間ができているのを見て、すっかり感心してしまった。
「……これはこれで……」
硬めのカップがない分、胸元に触れるとフニュッと潰れる感があり、ちょっとエッチだ。
(…………い、……いいじゃん……)
心の中で誰にともなくデレた私は、コソコソと担当さんに聞いた。
「これっておいくらするんですか? 自腹で買います」
下着まで涼さんに買ってもらったら申し訳ないと思って聞いたけれど、結構なお値段で「フゥン?」と流行のうさぎのキャラクターみたいな声がを出してしまった。
ある程度下着のフィッティングを終えてリビングダイニングに戻ると、涼さんは他の担当さんと話し込んでいた。
けれど私を見てパッと表情を輝かせると、「どうだった?」と尋ねてくる。
……いや、下着の感想を聞かれても困るんですけど……。
モゴモゴしていると、下着の担当さんが「お気に入りの物ができたご様子です」とにこやかに答えた。
「そう、良かった。『谷間』って叫び声が聞こえてきたけど、サイズの変化でもあった?」
やっぱり答えづらい事を聞かれて、またモゴモゴしていると、彼は一人で納得して言った。
「じゃあ、恵ちゃんに合いそうなサイズの、全部お願いします」
「かしこまりました」
そのあとも、私が不在の間に見当をつけていたイエベ秋に似合いそうな服を見せられて、好きか嫌いかを尋ねられ、ブランドバッグも見せられた。
そんな高価な物は持てないと断ったんだけれど、パーティー用の小さい物からトートバッグぐらいの大きさ、はたまたスーツケースまで「これ、良さそうだね」のノリで決められてしまう。
帽子やサングラス、靴も「これ、いいんじゃない?」で決められ、サイズに問題がなかった場合は〝決まり〟になる。
いつの間にか窓の外が暗くなってビルの灯りが点く頃には、信じられない事に千五百万円ぐらいの買い物が終わっていた。
「…………バカですか、あんた……」
私は室内に広がった商品の山を見て、ポツンと呟く。
「あはは、バカは酷いな。もっと喜んでよ」
外商たちが撤収したあと、涼さんは「そろそろ腹減ったね」と言ってキッチンに向かい、冷蔵庫にある作り置きの何かを温めたり、お皿に盛っている。
どうやらランドに行っている間に家政婦さんが作った物らしく、中にはフランス料理の前菜みたいに綺麗な物もあって美味しそうだ。
涼さんの家にある食器はどれも高そうで、ブランド陶器から焼き物と色々あるけれど、割ってしまったら○万円……と思うと、「ご飯美味しそう」以外の意味でドキドキする。
「恵ちゃん、スープ温めてるけど、焦げないように見ててくれる?」
「はい」
役目を与えられた私はホッとし、コンロの前に立つ。
「これ、一応してて」
涼さんに赤いカフェエプロンを渡され、私はそれをつけて腰の後ろでキュッと紐を縛る。
――と。
(マジか)
何も対策しなくていいとは思わないけど、うちは痩せ型の家系なので、自分も対して変わらないんだろうなと思っていた。
けど確かに母は『加齢と共にお尻が下がってきた』と言っていた。
(予防できるんなら、それに越した事はないな……)
そう思ってしまうのも、涼さんとの今後の事をつい考えてしまうからだ。
(……綺麗で、……いたいし……)
言い訳するように心の中で呟いた私は、誰にも何も言われていないのに赤面し、パタパタと手で顔を扇ぐ。
「こちらは総レースなのですが、こう見えてホールド力がかなりあるんですよ」
担当さんが見せてきたのは、スッケスケの総レースのブラで、普通のブラみたいにカップがしっかりしていない。
「えぇー? ……またまたぁ……」
私は素で言ってしまったけれど、テレビショッピングの〝フリ〟を作ってしまったなと感じた。
「お着けになってみますか?」
「……つ、つけるだけ……」
新たな発見を得た私は、興味本位で頷き、彼女が後ろを向いている間に新しいブラジャーを着ける。
そしてまたグイッ! グイッ! とされると、さっきのブラよりは補正度は低いものの、確かにしっかり支えて魅力的な谷間ができているのを見て、すっかり感心してしまった。
「……これはこれで……」
硬めのカップがない分、胸元に触れるとフニュッと潰れる感があり、ちょっとエッチだ。
(…………い、……いいじゃん……)
心の中で誰にともなくデレた私は、コソコソと担当さんに聞いた。
「これっておいくらするんですか? 自腹で買います」
下着まで涼さんに買ってもらったら申し訳ないと思って聞いたけれど、結構なお値段で「フゥン?」と流行のうさぎのキャラクターみたいな声がを出してしまった。
ある程度下着のフィッティングを終えてリビングダイニングに戻ると、涼さんは他の担当さんと話し込んでいた。
けれど私を見てパッと表情を輝かせると、「どうだった?」と尋ねてくる。
……いや、下着の感想を聞かれても困るんですけど……。
モゴモゴしていると、下着の担当さんが「お気に入りの物ができたご様子です」とにこやかに答えた。
「そう、良かった。『谷間』って叫び声が聞こえてきたけど、サイズの変化でもあった?」
やっぱり答えづらい事を聞かれて、またモゴモゴしていると、彼は一人で納得して言った。
「じゃあ、恵ちゃんに合いそうなサイズの、全部お願いします」
「かしこまりました」
そのあとも、私が不在の間に見当をつけていたイエベ秋に似合いそうな服を見せられて、好きか嫌いかを尋ねられ、ブランドバッグも見せられた。
そんな高価な物は持てないと断ったんだけれど、パーティー用の小さい物からトートバッグぐらいの大きさ、はたまたスーツケースまで「これ、良さそうだね」のノリで決められてしまう。
帽子やサングラス、靴も「これ、いいんじゃない?」で決められ、サイズに問題がなかった場合は〝決まり〟になる。
いつの間にか窓の外が暗くなってビルの灯りが点く頃には、信じられない事に千五百万円ぐらいの買い物が終わっていた。
「…………バカですか、あんた……」
私は室内に広がった商品の山を見て、ポツンと呟く。
「あはは、バカは酷いな。もっと喜んでよ」
外商たちが撤収したあと、涼さんは「そろそろ腹減ったね」と言ってキッチンに向かい、冷蔵庫にある作り置きの何かを温めたり、お皿に盛っている。
どうやらランドに行っている間に家政婦さんが作った物らしく、中にはフランス料理の前菜みたいに綺麗な物もあって美味しそうだ。
涼さんの家にある食器はどれも高そうで、ブランド陶器から焼き物と色々あるけれど、割ってしまったら○万円……と思うと、「ご飯美味しそう」以外の意味でドキドキする。
「恵ちゃん、スープ温めてるけど、焦げないように見ててくれる?」
「はい」
役目を与えられた私はホッとし、コンロの前に立つ。
「これ、一応してて」
涼さんに赤いカフェエプロンを渡され、私はそれをつけて腰の後ろでキュッと紐を縛る。
――と。