部長と私の秘め事
「この餃子はあっさりだからカロリーゼロですが、食べた事実は残るのでキスはなしです」
「……なるほど」
彼は視線を逸らして呟いたあと、「ま、美味そうに食ってるからいいか」と再び食べ始めた。
私はそんな尊さんをチラ見して、ニヤつくのを必死に抑える。
いつも彼と外食をすると高級なお店に行く事が多いけれど、勿論、私も尊さんもどんな料理だって大好きだ。
こうやって庶民派なお店で尊さんとご飯を食べるのも嬉しく、彼が綺麗な食べ方ながらも、大きな口を開けてパクパク食べているのを見ると嬉しくなってしまう。
「たんとお食べ」なんてお母さんみたいだけど、尊さんが食事をしているところを見ると嬉しくて堪らない。
私は中学生頃、父を喪ったショックでほぼ物を食べられずにいた。
だからこそ今は食の喜びに人一倍敏感な気がする。
死んでしまう事に比べれば、食べて太るなんてどうって事はない。
沢山食べて栄養をつけて、大好きな人と「美味しかったね」と言い合って、明日を生きる活力にする。
だから私は食事が大好きだ。
体型を気にして食べたい物を我慢するぐらいなら、食べてから運動したい。
男性の前でだって「そんなに食べられな~い」なんて事は言わない。
父の分も、さゆりさんとあかりちゃんの分も、私と尊さんが美味しい物を沢山食べるんだ。
「おいふぃーれふね!」
「ん」
私は餃子を頬張りながら尊さんに笑いかけ、お箸で白米をとり、あむっと食べた。
**
「んー……、お腹一杯……」
「たんと食べたもんな」
帰り道、私はお腹一杯なのと、昼間外出したのも相まって、若干の疲れを覚えてウトウトする。
「眠たいなら寝な。着いたら起こすから」
「餃子戦隊ギョウザリオンのレッドなので、起きてます」
「なんだそりゃ。……じゃあ、俺はブラックかな」
「ラー油ビームかましますよ」
「敵はチャーハンか」
「んふふふ……。私は今回宇都宮餃子に味方をしたので、倒すのは浜松餃子です」
「おい……。聞く人が聞いたら戦争が起こる話はやめろよ……」
「ひひひ。きのことたけのこより、いいじゃないですか」
「あれはラグナロクだからな……」
私は何気ない会話をして笑いながら、口の匂いを気にしてお茶を飲む。
「今日は自分の部屋で寝ますね」
「なんでだよ」
「だって……、にんにくがエントリーしたので」
「俺だってエントリーして、胃の中で『御社ー!』って言ってるよ」
「弊社の胃はある程度強力だと自負しておりますが、匂いばかりは……」
「二人で寝れば怖くないだろ。餃子ごときで遠慮するなよ。結婚したあとどうするんだよ」
「…………乙女でいたいし……」
ぶすっとして答えると、尊さんは前を向いたままワシャワシャと頭を撫でてくる。
「朱里はドリアン食っても乙女だよ」
「くさや食べてやる」
「一緒にシュールストレミングいってやんよ」
「ふひひひ……」
私はクピクピとお茶を飲みつつ笑う。
少ししてから、私は息を吐いて言った。
「……ボイレコの証拠くれたの、誰かっていうのは聞かないほうがいいですか?」
「そうだな。その社員に約束したから秘密は守るつもりだ」
「うん、分かりました」
彼が副社長としてそう言っているなら、私的な感情を見せて「教えて」なんて言えない。
ただ、別の方法で伝えたいと思った。
「私の話を聞いてくれますか? 返事がしづらかったら、私の独り言って事でいいので」
「ん、分かった」
尊さんの返事を聞いたあと、私は先日会社のトイレであった事を話した。
「……なるほど」
彼は視線を逸らして呟いたあと、「ま、美味そうに食ってるからいいか」と再び食べ始めた。
私はそんな尊さんをチラ見して、ニヤつくのを必死に抑える。
いつも彼と外食をすると高級なお店に行く事が多いけれど、勿論、私も尊さんもどんな料理だって大好きだ。
こうやって庶民派なお店で尊さんとご飯を食べるのも嬉しく、彼が綺麗な食べ方ながらも、大きな口を開けてパクパク食べているのを見ると嬉しくなってしまう。
「たんとお食べ」なんてお母さんみたいだけど、尊さんが食事をしているところを見ると嬉しくて堪らない。
私は中学生頃、父を喪ったショックでほぼ物を食べられずにいた。
だからこそ今は食の喜びに人一倍敏感な気がする。
死んでしまう事に比べれば、食べて太るなんてどうって事はない。
沢山食べて栄養をつけて、大好きな人と「美味しかったね」と言い合って、明日を生きる活力にする。
だから私は食事が大好きだ。
体型を気にして食べたい物を我慢するぐらいなら、食べてから運動したい。
男性の前でだって「そんなに食べられな~い」なんて事は言わない。
父の分も、さゆりさんとあかりちゃんの分も、私と尊さんが美味しい物を沢山食べるんだ。
「おいふぃーれふね!」
「ん」
私は餃子を頬張りながら尊さんに笑いかけ、お箸で白米をとり、あむっと食べた。
**
「んー……、お腹一杯……」
「たんと食べたもんな」
帰り道、私はお腹一杯なのと、昼間外出したのも相まって、若干の疲れを覚えてウトウトする。
「眠たいなら寝な。着いたら起こすから」
「餃子戦隊ギョウザリオンのレッドなので、起きてます」
「なんだそりゃ。……じゃあ、俺はブラックかな」
「ラー油ビームかましますよ」
「敵はチャーハンか」
「んふふふ……。私は今回宇都宮餃子に味方をしたので、倒すのは浜松餃子です」
「おい……。聞く人が聞いたら戦争が起こる話はやめろよ……」
「ひひひ。きのことたけのこより、いいじゃないですか」
「あれはラグナロクだからな……」
私は何気ない会話をして笑いながら、口の匂いを気にしてお茶を飲む。
「今日は自分の部屋で寝ますね」
「なんでだよ」
「だって……、にんにくがエントリーしたので」
「俺だってエントリーして、胃の中で『御社ー!』って言ってるよ」
「弊社の胃はある程度強力だと自負しておりますが、匂いばかりは……」
「二人で寝れば怖くないだろ。餃子ごときで遠慮するなよ。結婚したあとどうするんだよ」
「…………乙女でいたいし……」
ぶすっとして答えると、尊さんは前を向いたままワシャワシャと頭を撫でてくる。
「朱里はドリアン食っても乙女だよ」
「くさや食べてやる」
「一緒にシュールストレミングいってやんよ」
「ふひひひ……」
私はクピクピとお茶を飲みつつ笑う。
少ししてから、私は息を吐いて言った。
「……ボイレコの証拠くれたの、誰かっていうのは聞かないほうがいいですか?」
「そうだな。その社員に約束したから秘密は守るつもりだ」
「うん、分かりました」
彼が副社長としてそう言っているなら、私的な感情を見せて「教えて」なんて言えない。
ただ、別の方法で伝えたいと思った。
「私の話を聞いてくれますか? 返事がしづらかったら、私の独り言って事でいいので」
「ん、分かった」
尊さんの返事を聞いたあと、私は先日会社のトイレであった事を話した。