部長と私の秘め事
「んー……」

 久しぶりに尊さんに性的に触れられた気持ちになった私は、真っ赤になってじろりと彼を睨んだ。

「んな顔しても駄目だ」

 彼は小さく笑い、濡れタオルで私の足を拭く。

「蒸れてますよ。臭いですよ」

「朱里の足ならどれだけでも嗅いで、ガンギマリしてやるよ」

「やだもう、それでフレーメン反応の顔をするんでしょ……」

 言いながら、床の上に胡座をかいた尊さんは私の足を拭き、乾いたタオルで包むと足の裏を指圧してきた。

「ん、あ、……あー……、……気持ちいい…………」

 疲れた足に指圧が効き、私は吐息混じりに声を漏らす。

「朱里に『気持ちいい』って言わせるの、快感だな。……絶対、よその整体師に揉ませたくねぇ」

「それはいきすぎた嫉妬ですよ。猫も歩けば棒に当たるんですから」

「何の棒だよ」

「わぁ~……、セクハラだ。労基に訴えてやる」

「こんにゃろ」

 尊さんは少し強めにグリグリと足の裏を指圧してくる。

「ひひひ、気持ちいい。ひひひ」

 笑っていると、彼は膝にチュッとキスをし、上目遣いで言う。

「今日一日、お疲れ様。秘書さん」

「う……」

 改めてそう言われると照れてしまうので、言い返してやった。

「……副社長もお疲れ様です」

 すると彼は「おや?」と眉を上げてニヤリと笑う。

「……秘書さん、俺を労ってくれる?」

 そう言った尊さんは、私をソファの上に押し倒して脚を抱え上げた。

「あ……っ、足を拭くだけなんですよね?」

 上ずった声で尋ねると、彼はまた私の膝にキスをして悪い笑みを浮かべる。

「どうかな? 気が変わるかも」

「……シェフの気まぐれパスタ」

 照れくさいのを誤魔化すために冗談を言うと、尊さんはスルリと太腿を撫でて口角を上げる。

「朱里のハニーバター、生クリームと苺を添えて」

「……なんか、グッと美味しそうになりましたね?」

 真顔になって感想を述べると、彼は横を向いて噴き出した。

「俺専用のデザートだよ」

 微笑んだ尊さんは、ソファの座面に手をつくと、サラリと私の髪を撫でてキスをしてきた。

「……ん、んー……」

 イチャイチャが嬉しい私は、思わず彼の背中に両手を回して抱き締める。

 ちゅ……、と小さな音を立てて唇が離れたあと、私は尊さんの耳元で囁いた。

「ぎゅーして」

 すると尊さんは私を見て目を細めて笑い、体重をかけすぎないように気をつけながら抱き締めてくれる。

「んー……、私の」

 私はちゅっちゅっと尊さんの頬にキスをし、耳を軽く囓る。

「……煽るなよ」

 尊さんは顔を上げ、少し頬を染めて私を睨む。

「……今ならアカリンパイ、触り放題ですよ?」

 私は悪戯っぽく言って尊さんの手を握り、ベージュピンクのワンピースの胸元にパフッと置いた。

「最高の癒し効果がありそうだな」

「百二十分、触り放題」

「ビュッフェ形式じゃねぇか。元はとれるのか?」

「それは尊さん次第ですよ?」

 軽口を叩いた私たちは笑い合う。

「一緒に風呂に入ったあと、飯にするか」

「そうですね」

 お腹が空いているといえば空いてるけど、今はこのまま尊さんとイチャイチャしたい気分だ。

 町田さんはもう帰宅しているけれど、冷蔵庫の中には作り置きのおかずがあるから、温めたらすぐ食べられるはずだ。

「町田さんが風呂入れてくれてるはずだから、先にメイク落としてきな」

「分かりました」

 尊さんは起き上がったあと、私の腕を引いて立たせてくれる。

 そのあと私は部屋で着替えをし、洗面所で丁寧にメイク落としをする。

 尊さんも家着に着替えたあと、「先入ってるぞ」と言って私の後ろで服を脱ぎ、サッとバスルームに入った。
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