部長と私の秘め事
就任パーティーを終えて
その後、バタバタと過ごすうちに、あっという間に就任パーティーになった。
都内のホテルの大ホールを借り、料理は立食形式。
鏡割りのための樽入り日本酒も用意し、会場設営の最終確認も済み、音響確認、あとは招待客を確認していく。
ホテルスタッフと総務部の連携で準備が進んで行き、私は当日尊さんの側で彼のサポートをする。
怜香さんの件でマスコミは新体制の篠宮ホールディングスがどう出るか、興味津々みたいだけど、そつなく就任パーティーをこなす事で「問題ありませんよ、お気になさらず」と示していく所存だ。
今日、外出前に尊さんから「ご馳走を見て食べたくなる気持ちは分かるが、今日はセーブだ」と言われたけど、分かっている。イッツオーケーだ。
……そこまで食いしん坊のハラペコ魔人だと思われているのだろうか。
風磨さんは堂々とした社長っぷりで挨拶をし、尊さんも軽くユーモアを交えて場を和ませ、パーティーは終始いい雰囲気で終わりを迎える。
途中で涼さんや春日さんの姿も見えたけれど、今回は会釈をするだけに留めておいた。
**
「はぁ……、疲れた」
帰宅したのは結局夕方だ。
パーティーが終わったあと、会社に戻って少し仕事をして帰ったので、いつもより疲労が倍になったように思える。
「お疲れさん」
「……はい」
私はバッグを置く前にソファに座り、ぐでーっと脱力する。
「お偉いさんとの挨拶ばかりで疲れたよな」
「……それもそうなんですが、やっぱり美味しそうな料理が沢山あるのに、飲食に専念したら駄目だっていうのが、パーティーのくせに……」
「やっぱりそこか」
尊さんはネクタイを解きながら笑う。
「エミリさんが疲れないヒールを教えてくれたから、なんとかなりましたが、立ちっぱなしも結構きつかったです。立食パーティー、そう頻繁には参加したくありませんね」
「女性はパーティーにぺたんこ靴……っていかない場合もあるからきついよな。朱里の足の疲労感が、自動的に分けられるシステムになっていればいいのに……」
「人間じゃないですよ、それ」
私はケラケラと笑い、ジャケットを脱ぐ。
「六月の一番大きいイベントが終わりましたね。あとはちょこちょこ出張とかもありますが」
「第二秘書の面接もあるな」
「そうでした」
次の月曜日には第二秘書の面接があって、三人まで候補が絞られたそうだ。
人事部部長と尊さん、秘書室長と私とで面接官をする事になっていて、少し緊張する。
「私が決める側に立っていいんでしょうか」
「仕事上の相棒になるんだから、主に俺と朱里に決定権があると思うよ。男性三人との面接になるけど、パッと見ての印象とか『生理的に無理』とかあったら、あとで教えてほしい。そういうのも大切だと思うから」
「分かりました」
返事をすると、尊さんは「よし、褒美をつかわすからそこで待ってろ」と言って、廊下を歩いて行く。
やがて水音が聞こえ、戻ってきた彼は手に濡れタオルと乾いたタオルを持っていた。
「何が始まるんですか?」
「猫の足拭き」
そう聞いて、私はサッと赤面すると体育座りをして足を引き、「にゃー」と抗議を込めて鳴いてみせる。
尊さんはスーツのジャケットを脱いでテーブルの上に置くと、「オラ、ストッキング脱げ」と言ってスカートの中に手を入れてきた。
「きゃあっ! んゃ……っ、んーっ」
ストッキングの生地ごしに彼の手が這うのが気持ち良く、私は疲れているはずなのに色っぽい声を上げてしまう。
「ん……っ」
大きな手でウエストを掴まれた瞬間、私はドキッとして目を見開く。
すると尊さんと目が合い、この上なく恥ずかしい気持ちに駆られる。
けれど彼は優しく微笑むと、「今は足を拭くだけ」と言い、スルスルとストッキングを脱がしてきた。
でも脱がしながら太腿からつま先まで指先で脚に触れているので、ツーッと撫で下ろされた私はゾクゾクと身を震わせる。
都内のホテルの大ホールを借り、料理は立食形式。
鏡割りのための樽入り日本酒も用意し、会場設営の最終確認も済み、音響確認、あとは招待客を確認していく。
ホテルスタッフと総務部の連携で準備が進んで行き、私は当日尊さんの側で彼のサポートをする。
怜香さんの件でマスコミは新体制の篠宮ホールディングスがどう出るか、興味津々みたいだけど、そつなく就任パーティーをこなす事で「問題ありませんよ、お気になさらず」と示していく所存だ。
今日、外出前に尊さんから「ご馳走を見て食べたくなる気持ちは分かるが、今日はセーブだ」と言われたけど、分かっている。イッツオーケーだ。
……そこまで食いしん坊のハラペコ魔人だと思われているのだろうか。
風磨さんは堂々とした社長っぷりで挨拶をし、尊さんも軽くユーモアを交えて場を和ませ、パーティーは終始いい雰囲気で終わりを迎える。
途中で涼さんや春日さんの姿も見えたけれど、今回は会釈をするだけに留めておいた。
**
「はぁ……、疲れた」
帰宅したのは結局夕方だ。
パーティーが終わったあと、会社に戻って少し仕事をして帰ったので、いつもより疲労が倍になったように思える。
「お疲れさん」
「……はい」
私はバッグを置く前にソファに座り、ぐでーっと脱力する。
「お偉いさんとの挨拶ばかりで疲れたよな」
「……それもそうなんですが、やっぱり美味しそうな料理が沢山あるのに、飲食に専念したら駄目だっていうのが、パーティーのくせに……」
「やっぱりそこか」
尊さんはネクタイを解きながら笑う。
「エミリさんが疲れないヒールを教えてくれたから、なんとかなりましたが、立ちっぱなしも結構きつかったです。立食パーティー、そう頻繁には参加したくありませんね」
「女性はパーティーにぺたんこ靴……っていかない場合もあるからきついよな。朱里の足の疲労感が、自動的に分けられるシステムになっていればいいのに……」
「人間じゃないですよ、それ」
私はケラケラと笑い、ジャケットを脱ぐ。
「六月の一番大きいイベントが終わりましたね。あとはちょこちょこ出張とかもありますが」
「第二秘書の面接もあるな」
「そうでした」
次の月曜日には第二秘書の面接があって、三人まで候補が絞られたそうだ。
人事部部長と尊さん、秘書室長と私とで面接官をする事になっていて、少し緊張する。
「私が決める側に立っていいんでしょうか」
「仕事上の相棒になるんだから、主に俺と朱里に決定権があると思うよ。男性三人との面接になるけど、パッと見ての印象とか『生理的に無理』とかあったら、あとで教えてほしい。そういうのも大切だと思うから」
「分かりました」
返事をすると、尊さんは「よし、褒美をつかわすからそこで待ってろ」と言って、廊下を歩いて行く。
やがて水音が聞こえ、戻ってきた彼は手に濡れタオルと乾いたタオルを持っていた。
「何が始まるんですか?」
「猫の足拭き」
そう聞いて、私はサッと赤面すると体育座りをして足を引き、「にゃー」と抗議を込めて鳴いてみせる。
尊さんはスーツのジャケットを脱いでテーブルの上に置くと、「オラ、ストッキング脱げ」と言ってスカートの中に手を入れてきた。
「きゃあっ! んゃ……っ、んーっ」
ストッキングの生地ごしに彼の手が這うのが気持ち良く、私は疲れているはずなのに色っぽい声を上げてしまう。
「ん……っ」
大きな手でウエストを掴まれた瞬間、私はドキッとして目を見開く。
すると尊さんと目が合い、この上なく恥ずかしい気持ちに駆られる。
けれど彼は優しく微笑むと、「今は足を拭くだけ」と言い、スルスルとストッキングを脱がしてきた。
でも脱がしながら太腿からつま先まで指先で脚に触れているので、ツーッと撫で下ろされた私はゾクゾクと身を震わせる。