部長と私の秘め事
「お前なぁ! ……お前なんてこうだ、このこのこの」
尊さんは目を剥いて呆れたあと、私のお尻をペチペチと叩いてくる。
「太鼓の達人ですか?」
「ぶふぅっ!」
不意に思いだした単語を口にすると、彼は横を向いて噴き出した。
「まったく、愉快な女だよお前は」
「尊さんが愉快な女にしてくれてるんですよ」
私は少し前までの、面白みに欠けて人付き合いの悪い〝上村さん〟を思いだして言う。
「……しゅき」
私は両手で尊さんの頬を包み、ちう……、とキスをする。
「……贅沢ですよね。海外旅行に連れて来てもらって、普段体験できない事を沢山して、なのに『時間が足りない』って思っちゃう。こうやって尊さんや恵、涼さんと思い出作りをする事は凄く幸せで大事なのに、たまに『尊さんと二人きりでどこかに籠もって、ずっとイチャイチャしていたい』って思っちゃうの」
こんな事を言ったら呆れられるかな? と不安に思ったけれど、尊さんは優しく笑った。
「俺もだよ。……予備の体がほしいな。会社に行って働く俺と、朱里とイチャイチャする俺と、朱里と遊び歩く俺」
「明らかに、働いてる尊さんが反乱を起こしそうですね」
「そうだな」
尊さんは自分で言っておきながら、肩を震わせて笑う。
そのあと、私たちは見つめ合って唇をついばむ。
「尊さん、キレたら恐そう。こう……、映画みたいに銃をジャコッとやって、ドッペルゲンガー尊ズを撃っていくんですよ」
「おいおい、なんの映画の影響だ?」
彼はクスクス笑って、私の頬から首筋にかけてキスを落としていく。
「『七人のミコ 最後の聖戦』」
「待ってくれ。色々混じってる」
尊さんはとうとうシャワーボックスの壁に手をついて、クックックック……と笑い出す。
彼が戦意喪失している間に、私はボディソープを手に取って泡立て、尊さんの体を洗い始める。
「ん? サービスか?」
「沢山美味しい物を食べさせてくれたサービスです」
「極上のサービスをしてくれる割には、動機が安上がりだな」
「お肉沢山食べさせてくれたじゃないですか。パラダイスですよ」
私は微笑み、チュッと彼の顎にキスをすると、両手でクリクリと尊さんの乳首を弄る。
「こら」
「おおきくな~れ」
私はクスクス笑い、親指の腹で優しく彼の乳首を撫で続けた。
「気持ちいい?」
尊さんの乳首は信じられないぐらい小さくて、私のみたいにピンと大きくならない。
「そこはあんまりだな……」
彼も快楽は得ていないみたいで、仔猫におっぱいを吸われている雄猫みたいな、困惑した顔をしている。
「変なの。でもね、朗報です! 乳首で感じない男性も、鍛えたら感じるようになるんですって」
「鍛えなくていいよ……」
尊さんはまったく乗り気じゃない顔でぼやく。
二人とも髪と体を洗い終わったあと、あらかじめ貯めておいたお風呂に浸かった。
「……ずるいですよ。いつも人がシャワーしてきたら突撃してくるんだから。特攻隊長か」
「そういう印象を持たれるのは本意じゃないな……。今度からはちゃんとノックする」
「〝五枚刃のミコ〟は、そんな丁寧な事をしないんですよ」
「なかなか昭和のヤンキー漫画のノリだな」
「私の覚えているフレーズは二枚刃だったような気がするんですが、今の剃刀って五枚刃ぐらいになっているので、グレードアップしてみました」
「安全剃刀じゃ何も切れねぇよ……」
「尊さん、キレッキレのナイフでしたっけ。危ないから、子供用包丁に……」
「マジで何も切れねぇ」
尊さんはお湯をチャプチャプさせて体を揺らし、横を向いて笑っている。
「……それはそうと、私だけ気持ち良くしてもらって、尊さんはいいんですか?」
「別にいいよ。あとは帰るだけとはいえ、数日我慢したのを発散したら、明日ろくに買い物できなくなるだろうし」
「野獣……! びょっ」
両手で口元を覆ってハッとすると、尊さんに水鉄砲を掛けられた。ミコガエルめ。
「我慢してて、タマタマ爆発しないんですか?」
「お前なぁ……」
尊さんは大きな溜め息をつき、また水鉄砲を掛けてきた。
「数日我慢した程度でいちいち爆発してたら、世界中で花火が上がってるよ」
「白い花火ですね」
「グロイからやめろ」
尊さんは目を剥いて呆れたあと、私のお尻をペチペチと叩いてくる。
「太鼓の達人ですか?」
「ぶふぅっ!」
不意に思いだした単語を口にすると、彼は横を向いて噴き出した。
「まったく、愉快な女だよお前は」
「尊さんが愉快な女にしてくれてるんですよ」
私は少し前までの、面白みに欠けて人付き合いの悪い〝上村さん〟を思いだして言う。
「……しゅき」
私は両手で尊さんの頬を包み、ちう……、とキスをする。
「……贅沢ですよね。海外旅行に連れて来てもらって、普段体験できない事を沢山して、なのに『時間が足りない』って思っちゃう。こうやって尊さんや恵、涼さんと思い出作りをする事は凄く幸せで大事なのに、たまに『尊さんと二人きりでどこかに籠もって、ずっとイチャイチャしていたい』って思っちゃうの」
こんな事を言ったら呆れられるかな? と不安に思ったけれど、尊さんは優しく笑った。
「俺もだよ。……予備の体がほしいな。会社に行って働く俺と、朱里とイチャイチャする俺と、朱里と遊び歩く俺」
「明らかに、働いてる尊さんが反乱を起こしそうですね」
「そうだな」
尊さんは自分で言っておきながら、肩を震わせて笑う。
そのあと、私たちは見つめ合って唇をついばむ。
「尊さん、キレたら恐そう。こう……、映画みたいに銃をジャコッとやって、ドッペルゲンガー尊ズを撃っていくんですよ」
「おいおい、なんの映画の影響だ?」
彼はクスクス笑って、私の頬から首筋にかけてキスを落としていく。
「『七人のミコ 最後の聖戦』」
「待ってくれ。色々混じってる」
尊さんはとうとうシャワーボックスの壁に手をついて、クックックック……と笑い出す。
彼が戦意喪失している間に、私はボディソープを手に取って泡立て、尊さんの体を洗い始める。
「ん? サービスか?」
「沢山美味しい物を食べさせてくれたサービスです」
「極上のサービスをしてくれる割には、動機が安上がりだな」
「お肉沢山食べさせてくれたじゃないですか。パラダイスですよ」
私は微笑み、チュッと彼の顎にキスをすると、両手でクリクリと尊さんの乳首を弄る。
「こら」
「おおきくな~れ」
私はクスクス笑い、親指の腹で優しく彼の乳首を撫で続けた。
「気持ちいい?」
尊さんの乳首は信じられないぐらい小さくて、私のみたいにピンと大きくならない。
「そこはあんまりだな……」
彼も快楽は得ていないみたいで、仔猫におっぱいを吸われている雄猫みたいな、困惑した顔をしている。
「変なの。でもね、朗報です! 乳首で感じない男性も、鍛えたら感じるようになるんですって」
「鍛えなくていいよ……」
尊さんはまったく乗り気じゃない顔でぼやく。
二人とも髪と体を洗い終わったあと、あらかじめ貯めておいたお風呂に浸かった。
「……ずるいですよ。いつも人がシャワーしてきたら突撃してくるんだから。特攻隊長か」
「そういう印象を持たれるのは本意じゃないな……。今度からはちゃんとノックする」
「〝五枚刃のミコ〟は、そんな丁寧な事をしないんですよ」
「なかなか昭和のヤンキー漫画のノリだな」
「私の覚えているフレーズは二枚刃だったような気がするんですが、今の剃刀って五枚刃ぐらいになっているので、グレードアップしてみました」
「安全剃刀じゃ何も切れねぇよ……」
「尊さん、キレッキレのナイフでしたっけ。危ないから、子供用包丁に……」
「マジで何も切れねぇ」
尊さんはお湯をチャプチャプさせて体を揺らし、横を向いて笑っている。
「……それはそうと、私だけ気持ち良くしてもらって、尊さんはいいんですか?」
「別にいいよ。あとは帰るだけとはいえ、数日我慢したのを発散したら、明日ろくに買い物できなくなるだろうし」
「野獣……! びょっ」
両手で口元を覆ってハッとすると、尊さんに水鉄砲を掛けられた。ミコガエルめ。
「我慢してて、タマタマ爆発しないんですか?」
「お前なぁ……」
尊さんは大きな溜め息をつき、また水鉄砲を掛けてきた。
「数日我慢した程度でいちいち爆発してたら、世界中で花火が上がってるよ」
「白い花火ですね」
「グロイからやめろ」