孤独な令嬢と、ある教師の話。
オリヴィアの放課後の過ごし方は毎日同じだ。魔術の練習の為に自主練習室に篭り、主席入学の特権で得た図書室の奥の奥にある個室で魔術理論について解かれた書物、外国の言葉で書かれた魔術書を翻訳したり、一通り終えたら趣味の読書をして寮の部屋に帰る。食事も時間になると寮の使用人が部屋まで運んでくれるから、誰とも話すことはない。そんな生活をもう4年も続けている。もともと実家にいた頃から似たような生活だったから、大差ないけれど。
たまに学園で話しかけられることはあるが、事務的な会話をして終わる。オリヴィアは愛想が悪く口下手、雰囲気も陰気なので話しかけづらいのだと自覚してるし、オリヴィア自身も他者と関わりたくないと思ってる。何を話して良いか分からないし、家族ですらオリヴィアを疎み、同じ空気を吸うのことも耐え難いとこの全寮制の学園に放り込んだ。だから赤の他人と上手くやれる気が全くしなかった。これで良い。18になれば実家から親の承諾なく籍を抜けるし、今の成績を維持すれば国家魔術師の試験にも問題なく受かる。正式に魔術師になれれば、もう父も母方の実家もオリヴィアに干渉することは出来なくなる。
彼らはオリヴィアを捨て置きながら、己の都合で利用しようとする可能性が高い。己の母が彼らの被害者だった。母の二の舞にはなりたくない。だから誰からも干渉されないだけの力を得たいのだ。
このまま1人で生きていくと思っていたのに、この日突然個人練習室にある人物が入って来たから、オリヴィアの孤独な日常が変わり始めていった。