溺愛銃弾 〜メルティ・your・バレット~
嵐が灰色の雲を押し流したみたいに、陶史郎さんの空気がちょっと変わった気がする。

冴えて静かだけど、冷たくない。低いけど重たくない。・・・うまく言えないけど、寒そうじゃない。

「樹、今日は外で食べるから着替えておいで」

その日の朝は十時くらいに鹿島さんが迎えにきて、戻ったのはまだ明るいうち。三つ揃い姿のまま、陶史郎さんは綺麗に笑う。

夕ご飯用に考えた食材を仕舞い直すと、一花をまかせて自分の支度にとりかかった。

「なに着ても似合うけど、ワンピースが可愛いよ?」

さり気なく教えられたドレスコード。そう言えば、妊娠が判ってから外食した記憶がない。

お家ごはんが一番あったかくて美味しいから、連れてってほしい欲もなかったような。

クローゼットを開いて、陶史郎さんが買い揃えてくれた中から、襟と五分丈の袖口に白いレースをあしらったブルーグレーのシックなワンピースを選ぶ。

髪もずっとショートだし、スカートとか、自分には向かないと思ってた。

いつの間にか陶史郎さんの『かわいい』に、食わず嫌いみたいなものを治してもらった。かもしれない。
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