溺愛銃弾 〜メルティ・your・バレット~
鹿島さんを追って運転手さんも表へ。沈黙した空気にカウンターの向こうで洗い流す水音だけ、止まない。

「わざわざ伊沢をたぶらかしてまで来たわりに、玉置の冗談はつまらないねぇ」

冷めた横顔を後ろに傾けて、陶史郎さんはすぅっと口角を上げた。

「組長のお遣いか?無駄足なのを分かってて、くだらない真似するんじゃないよ、お前が」

「・・・極道の水が染みついてる貴方に、堅気の水は毒でしょう」

「腐ってるよりは毒のほうがマシでね」

刺すような気配でトーンが一段さがった。

「せっかく残してやった組ごと潰されたくなかったら俺を放っておけ、・・・とでも飼い主に伝えるんだな」

「ご自分でどうぞ。・・・幹部会で決定しました、組長には引退してもらいます。若の襲名が組の総意です。姐さんも承知しています」

教科書を読みあげるように淡々とした、玉置さんの言葉ひとつひとつを大きく小さく砕いて、どうにか飲み込んでいく。

「若に口を出す人間はもういません。樹さんと一花お嬢さんを閉じ込めておく必要もなくなります。面倒と後始末はすべて私が引き受けます、貴方は命令するだけでいい」
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