溺愛銃弾 〜メルティ・your・バレット~
聞いた途端、陶史郎さんはククッ、と笑いを喉の奥にくぐもらせると。片手で前髪を掻き上げ、わざと大袈裟に息を吐いたように見えた。

「玉置」

「はい」

おもむろに半身ふり向けた陶史郎さんの一挙一動に釘付けになる。意味を必死に追いかけながら。

「俺は、沢崎を死なせたときから、極道と父親にはうんざりなんだよ」

「承知しています」

「ヤクザだけで食っていける時代も終わりだ、泥船にしがみついてどうする」

「若が頭(アタマ)なら沈まず渡り切れます。組長にはできないだけの話です」

「恩があるだのとしおらしかった割りに、あっさり座(イス)から蹴落とすわけか。そんな博打を打つくらいなら、どうして俺のところへ来ない?お前の有能さは買ってるんだよ、これでも」

玉置さんはお義父さんの味方じゃなかった・・・? 組のひとがみんな、陶史郎さんを待ってる・・・?

「私は極道でしか生きられない、泥船から下りられない人間です。乗るのは貴方の船と決めていました。・・・最初から」
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