甘々とロマンス中毒
『菫花のこと…不安?』

尋ねるあやちゃんの睫毛に影がかかる。
あ…だから、と胸中で声が落ちた。ビデオ通話の意図に気づき、私は首を横に振る。

「大丈夫だよ」

両手で頬をぎゅうっと持ち上げた。『心配しないで』がちゃんと伝わるよう、口角を柔らかに上げて笑うの。

ママに教わった笑顔のおまじない。

頬杖をやめたあやちゃんと視線が交差する。
美麗な顔を傾ける格好に息を潜め……


『一咲、なんでそんなに可愛いの』


お砂糖まみれの言葉に埋もれた。
私の世界がひっくり返った瞬間だ。

え…え?これはどっちの意味なの?
幼なじみ的なやつ?それとも、あやちゃん専用のぬいぐるみ的な……?わ、わかんない。

「〜〜〜〜っ、酔ってる…?」

『全然、シラフだけど』

『!!?』

『ん?(眠そう?なんか疲れてるな)』

「あやちゃんも」と、しどろもどろに続ける声に低い音が被さり、肩が跳ねる。

『テスト前に電話して悪かった。じゃあ、また来週な。おやすみ』

終わり!?

「……ウン、おやすみなさい」

手を振る暇もなく終了しちゃった。
はぁ…っ。ふー。乱れた呼吸を整える。
心臓のばくばくが止まらない。

「(ほっぺも熱い…)」

くたっと机に伏せた。

「あやちゃんも、全部かっこいいよ」

さっき言えなかったから、来週会ったとき伝えれたらいいな。そう思っていたの。この日までは。



優しい余熱を纏ったまま眠りについた。

あやちゃんに恋をして、初めて泣くことを知らずに———…
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